研究課題/領域番号 |
20K12776
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
小倉 拓也 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (00739401)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | アンリ・マルディネ / エルヴィン・シュトラウス / 精神病理学 / リズム / 形 / 感覚 / ダンス / 空間 / 形象 / 超受容性 |
研究開始時の研究の概要 |
アンリ・マルディネは、20世紀から21世紀にかけて活動したフランスの哲学者であり、現象学的人間学の立場から、美学や精神病理学の領域にわたる多くの成果を残した。しかし、その存在は、生の哲学、現象学、構造主義、ポスト構造主義などが織りなす、同時代の華やかな思想運動のなかでは、ほとんど注目されずに埋もれていた。本研究は、マルディネの哲学を、①その思想史的位置づけの解明と、②それにもとづく基本諸概念の内実の解明をとおして、体系的に研究する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、アンリ・マルディネの哲学を、その思想史的位置づけの解明、そしてそれにもとづく基本諸概念の解明をとおして、体系的に研究することである。研究計画では、2022年度は、マルディネの哲学を精神病理学的な観点からの研究することとしていた。2022年度は、マルディネの精神病理学そのものの解明にまで踏み込むには至らず、同時代の哲学における精神病理学的問題を、マルディネに関連づけて論究することとなった。具体的には下記のとおりである。1. ドゥルーズにおける病と生の問題を、マルディネのリズム概念や、フーコーのヘテロトピア概念などを参照しながら論じた。2. メルロ=ポンティの知覚の哲学における統合失調症をめぐる問題を、それが依拠しているシュトラウスと、同じくシュトラウスに依拠しているマルディネの精神病理学を念頭に置きながら論じた。3. ドゥルーズにおける非人間主義と現象学的人間学の関係、そしてその関係の観点から見たリトルネロという概念の現代的意義を、シュトラウスとマルディネの精神病理学の観点から論じた。4. リュイエルの形の哲学、とりわけそれ自体がモナド的な精神とされる「自分で自分を形づくる形」をめぐる議論と、マルディネの形の哲学、とりわけ芸術作品を定義する感覚的な「自分で自分を形づくる形」をめぐる議論とが、ドゥルーズとガタリの晩年の哲学においていかに総合され、病を含む「ひとつの生」という観念に結実するのかを論じた。このように、2022年度は、マルディネの精神病理学的な研究としては、その思想史的な外堀を調査し埋めていく研究が中心となった。学会等発表が4件、うち1件が国際学会等での発表となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記「研究実績の概要」に記述したとおり、国際学会等を含む4件の研究発表を行ったが、いずれも同時代の思想史的な布置をめぐる研究がメインとなり、マルディネの精神病理学そのものを論究するには至らなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、研究計画に沿って、マルディネ自身のテクストと、思想史的に関連するテクストの読解を基本としながら、その思想史的位置づけと、基本諸概念を明らかにしていく。2023年度は最終年度となり、本研究の体系化を予定しているので、そのなかで2022年度の研究の「やや遅れている」部分を、可能な範囲でフォローしていく。
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