研究課題/領域番号 |
20K12778
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 流通経済大学 (2022) 東京大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
平岡 紘 流通経済大学, 流通情報学部, 准教授 (00823379)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | レヴィナス / フランス哲学 / 自己 / アイデンティティ / ベルクソン / ジャンヌ・ドゥロム / 自己性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、E・レヴィナスが1960年代後半以降の後期思想において提示する、「対格の自己」概念を核心とする特異な自己論の内実と独自性を解明することを目的とする。この自己論を、レヴィナスは同時期のフランス哲学者たち(J・ドゥロムら)と互いに思想的に対話することを通じて深めていった。この点に着目し本研究は、自己性をめぐる後期レヴィナスの思索を体系的に読解すると同時に、レヴィナスとフランス哲学者たちの思想的交流の実相を精査することにより、「対格の自己」概念の内実とレヴィナスの自己論の独自性を明らかにし、「アイデンティティとはどういうことか」というアクチュアルな問いに一つの哲学的応答を提供する。
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研究実績の概要 |
本研究は、E・レヴィナスが1960年代以降に展開する、自分が他者から呼びかけられてしまっていることを根源的な自己性として提示するラディカルな自己論の内実を明らかにすることを目的として、(1)自己性をめぐる後期レヴィナスの思索を体系的に分析すること、そして同時に(2)同時代フランスの哲学者たちとレヴィナスの思想的交流の実相を精査すること、この二点を方法の柱として、自己の「唯一性」、自己への呼びかけの時間性としての「過去」、自己性の場としての「声」という三点について、後期レヴィナスの自己論を研究するものである。 本年度は、当初計画していたとおり、自己性の場としての「声」についてのレヴィナスの思考の分析に着手し、身体論も視野に入れつつ考察を行った。後期主著『存在の彼方へ』に頻出する音声的表現に着目して後期レヴィナスによる語りの記述を分析しつつ、メルロ=ポンティの身体論を継承・発展させて独自の聴覚論を展開したM・デュフレンヌ『眼と耳』(1987)、事物性をまったくもたず絶対的に透明な「主観的身体」の概念を提唱するM・アンリ『身体の哲学と現象学』(1965)および『受肉』(2000)、「発話」の現象学者J.-L・クレティアン『裸の声』(1990)の読解・検討を行った。その結果、後期レヴィナスが、アンリ的な「主観的身体」に比すべき身体を考察しつつも、その根本特徴を透明さではなくある種の重みに見出していることを解明した。 以上のように研究の発展・深化は順調に行われたが、本年度の研究成果を研究発表および研究論文としてまとめるために研究期間を延長することとした。 重要な研究成果として、本研究者が編著者の一人として、レヴィナスと現象学の関係を総括する論考などを執筆した『レヴィナス読本』が挙げられる。またレヴィナスに密接に関わるV・ジャンケレヴィッチの形而上学についての研究発表も重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の世界的拡大が継続していたこと、また今年度より研究機関が変更となったことにより、研究の遂行に若干の支障があったものの、当初の計画で今年度に研究を行うことにしていた主題について十分な成果を得ることができた。とりわけ、本研究者が編著者の一人として、レヴィナスと現象学の関係を総括する論考などを執筆した『レヴィナス読本』が公刊されたこと、またレヴィナスの倫理学に大きな影響を与えたV・ジャンケレヴィッチの形而上学についての研究発表がなされたこと、この二点は重要な成果として評価される。このように研究の発展・深化は順調に行われたが、本年度の研究成果を研究発表および研究論文としてまとめるための時間を十分にとることができなかった。2023年度に研究発表および研究論文を公表する見通しがすでにあることにより、研究期間を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
若干の支障はあったものの、本年度の研究により、研究の発展・深化は順調に行われたが、本年度の研究成果を研究発表および研究論文としてまとめるための時間を十分にとることができなかった。2023年度に研究発表および研究論文を公表する見通しがすでに得られているため、研究期間を延長することとした。2023年度は研究発表および研究論文の執筆に注力し、本研究で得られた成果を総合する。
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