研究課題/領域番号 |
20K12781
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
上田 知夫 法政大学, 法学部, 教授 (80816893)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ハーバマス / プラグマティズム / カント主義 / 真理論 / 討議倫理 / 語用論 / フランクフルト学派 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代ドイツの社会哲学の議論を、理論哲学の観点から分析しようとするものである。とりわけ本研究では、ハーバマスの理論展開とプラグマティストとの影響関係を理解しようと試みる。ハーバマスは自身の理論を、90年代以降アメリカのネオ・プラグマティストと呼ばれる一群の哲学者との対話を通じて発展させてきた。本研究は、この対話を分析することからスタートして、ハーバマスの理論的立場および彼の社会哲学の基礎概念を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、ハーバマスのカント主義的プラングマティズムの研究に理論的観点から着目した。とりわけ重要なのは彼の真理論である。ハーバマスは、彼の真理の合意説に、1990年代アメリカのプラグマティストとの議論を通じて、重要な変更を加えた。この変更後の真理の合意説が本研究の研究対象であった。 本研究は合意説的真理概念についていくつかの萌芽的結果を得た。第1に、彼の近年の宗教論を系譜学的研究プロジェクトとして解釈することで、メタ討議の実践であることを示した。第2に、彼の超越論的問題設定を明確にした。最後に記述的真理と規範的正当性の間の関係を描像した。 これらの研究成果の一部を、英語および日本語で公刊した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究は、ハーバマスの理論的なプラグマティズムについての研究を、彼の社会哲学や政治論(特に彼の民主主義論)と接続させようとするものであるが、とりわけ1990年代以降の彼の理論の展開と近年の宗教論を統一的に理解する端緒を与えようとする点に最も重要な学術意義があると考えられる。ハーバマスの理論的研究は、ドイツ語圏を超えてアメリカのプラグマティストたちにも盛んに検討されている。本研究は、ハーバマスの近年の議論が持つ言語圏を超えた研究の射程を明らかにする試みの一端でもある。 社会的には、価値についての多元的社会における民主主義にあり方についての理論的理解に資する可能性がある点が重要であろう。
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