研究課題/領域番号 |
20K12791
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
君嶋 泰明 法政大学, 文学部, 准教授 (70846617)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 技術の哲学 / ハイデガー / 技術 / 自然 / 呪術 / カルノー / ボルグマン / フィーンバーグ / 存在忘却 / 真理としての存在 / アリストテレス / 技術哲学 / 技術の存在論 / 意思決定プロセス / 技術と社会 |
研究開始時の研究の概要 |
哲学には「技術哲学」と呼ばれる分野がある。この分野は技術についての哲学的反省を旨とする。現在のこの分野の議論は技術批判論と技術分析論とに大別することができる。技術批判論は、技術が社会に及ぼすネガティブな影響を問題にする一方、技術そのものは「ブラックボックス」として扱う傾向にある。一方の技術分析論は、まずもって技術の実態を分析しようとする。近年、これら二つの議論を包括するアプローチの不在が問題視されるに至っている。このような状況を受け、本研究は、これまで批判論の第一人者ハイデガーの思想を研究してきた立場から、分析論の成果を用いて、批判論の主張をより具体的に理解させる技術の存在論の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、学部・学科運営にかかわる業務負担増により、当初の計画の通り技術分析論陣営のサーベイを行うよりも、前年度に得た着想をさらに発展させることにリソースを集中させる方が実りがあると判断し、その作業を行った。その結果、以下のような成果を得た。 前年度の成果によると、ハイデガーの技術論は、テクノロジーの現状を、自然それ自身が人間にたいして投げかけるある種の要求の帰結として理解しようとするものであった。本年度は、この要求の内実と、それへの人間の応答の仕方を分析した。 まず、応答者としての人間の側には、これはこれで、必要物が自分の求めに応じて即座に現れてくることを求める、即時的現出要求とでも呼べるものが存している。これは、かつてマリノフスキーが呪術の根源と呼んだものだが、これは技術の根源でもある。他方、技術は呪術とは異なり、自然の側からのある種の要求に応じようとする。このことが、技術を呪術とは似て非なるものにしているのである。 この自然の側からの要求には二つのものが属している。まず、必要物が現れてくるためには、それはあらかじめ適切なかたちで自然のうちに局在化していなければならない。それゆえ、私は必要物の局在化を求めるよう自然の方から暗黙理に要求されているといえる。これが第一の要求である。他方、私は自分の求めるものが何であるかを規定するよう、あらかじめ自然の側から要求されてもいる。これが第二の要求である。本研究では、このような考えをハイデガーに帰すことができると見なし、この二つの要求にたいする人間の応答が実際に技術の発展をもたらしたと考えられることを、サヂ・カルノーの火力機関をめぐる考察に即して示した。 以上の成果により、本研究は、科学技術史や実際の技術の発展に即してハイデガー流の技術の存在論を展開する足がかりを得ることができたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学科での主任業務などにより十分な研究の時間を確保することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
ハイデガーに基づく技術の存在論の枠組みはある程度構築することができたので、今後は分析論陣営の議論を参照しながらこの枠組みの妥当性を検証していく。
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