研究課題/領域番号 |
20K12792
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 (2021-2023) 早稲田大学 (2020) |
研究代表者 |
宮本 雅也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (20802086)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 関係論的平等主義 / 社会正義 / 分配的正義 / 平等主義 / 社会構造 / 責任 / 契約主義 / ジョン・ロールズ / 現代政治理論 / ケアの倫理 / 現代政治哲学 / 平等 / 運の平等主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代の社会正義論において「関係論的平等主義」と呼ばれる立場を体系的に理論化することを目指すものである。関係論的平等主義者は、現代の正義論が正義にかなった「分配」状態の特定化に集中している点を批判し、人びとの間の対等な「関係」こそが正義の核心であるとしている。しかし、多くの関係論的平等主義者たちは、自分たちの理論を体系化することをせず、関係の対等性が有する実践上の含意の考察に集中している。これに対して、本研究では、関係論的平等主義を従来の分配に注目する正義論とは異なる体系的理論として再構成し、その立場を正当化することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は、現代政治哲学における社会正義論の中で近年有力になりつつある「関係論的平等主義」に着目し、その理論を体系的に構築しようとするものである。関係論的平等主義の理論を構築する際、「社会構造」の視点を平等主義的正義論に導入しようとした。とりわけ、非理想状況における構造的不正義(ジェンダー構造や階級構造)に着目して、構造的不正義を是正する責任を個々人に割り当てるための規範的指針を提示しようとした。その結果、そうした構造変革責任を各人の社会的ポジションに応じて割り当てる「構造変革責任のポジション相関的割当て」という指針を提示することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、理論的および実践的な意義を有する。まず、理論的には、現代の政治哲学における重要分野である社会正義論・平等主義的正義論に対する多大な貢献になっている。現在の平等主義的リベラリズムにおいては、分配を重視する運の平等主義と社会関係・社会プロセスを重視する関係論的平等主義が対立している。本研究は、このうちの関係論的平等主義について、「社会構造」の視点を導入して理論的に体系化することを行った。この理論的な貢献が同時に実践的意義にもつながる。社会構造論の導入によって、関係論の立場からジェンダー構造や階級構造を是正するための責任(構造変革責任)を説得的に論じることができたからである。
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