研究課題/領域番号 |
20K12793
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
佐藤 香織 神奈川大学, 国際日本学部, 非常勤講師 (50839404)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | レヴィナス / ローゼンツヴァイク / リクール / ユダヤ思想 / フランス現象学 / デュフレンヌ / ドイツユダヤ思想 / 思想史 / ドイツ・ユダヤ思想 / エマニュエル・レヴィナス / フランツ・ローゼンツヴァイク / 対話の哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の問いは、いかに明確な仕方で「対話」の問題を哲学的文脈のもとに置き直すかということにある。より具体的には、時間および空間に関する思考の枠組みを捉え直したうえで、20世紀初頭のドイツ思想における「対話の哲学」が20世紀フランス現象学を起点として再考された際に有する意義を問う。本研究においては、フランス現象学の知見から対話の問題が有する射程を明確にすることを通じて、フランス現象学における時間および空間についての議論が、現象学の領域を超えて20世紀初頭のドイツ思想における「対話の哲学」の含む諸問題へと展開していく過程を解明し、対話の思想史を哲学に内在的な形で記述する。
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研究実績の概要 |
本年度は、当該研究に関す2冊の共著出版と1冊の共著出版準備(2023年4月出版)、『レヴィナス研究』4号への渡名喜庸哲『レヴィナスの企て』書評の寄稿、UTCPブックレットへの「対話」に関する論考の寄稿、2023年3月に東京大学東アジア藝文書院で開催された「故郷」に関するシンポジウムへのパネラーとしての参加、および日仏哲学会におけるリクールに関する学会発表といった成果を挙げることができた。 まず、『レヴィナス読本』において本研究者は編集委員の一員として書籍全体の構成に関わりつつ、基本項目「女性的なもの」、著作解題『タルムード4講話』および論考「レヴィナス とユダヤ思想」を担当した。その中で本研究者は「女性的なもの」をめぐってレヴィナスに提起される問題を整理し、タルムードへのレヴィナスの視点を確認した上で、リトアニア・ユダヤ思想およびドイツ・ユダヤ思想とレヴィナスの哲学の関わりを具体的に示した。 弘前大学出版会からは、『戦うことに意味はあるのか[増補改訂版]』『見ることに言葉はいるのか』の二冊の論集に寄稿した。『戦うことに意味はあるのか[増補改訂版]』(2023年2月)では編集としても出版に携わった。本研究者は、2017年の版から大幅に修正を加えた論考第7章「「戦争」に先行する「平和」ーーレヴィナス『全体性と無限』における「平和」概念の二義性から」、2017年の版をそのまま採用したフランツ・ローゼンツヴァイクに関するコラムを再掲載した他、新たにエマソン『代表的人間』第1章の翻訳と改題を新たに寄稿した。続く論集『見ることに言葉はいるのか』では、ローゼンツヴァイクに関する原稿を2本、寄稿した。 日仏哲学会では、「信仰」に関するリクールのあまり参照されてこなかった論考に着目し、その意義を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、複数の共著の出版、シンポジウムや学会への参加などを通じて本研究における「対話」の問題と関連する諸問題についての考察を深めることができた。とりわけ、レヴィナス と関連する思想家たち、具体的にはローゼンツヴァイクをはじめとするユダヤ思想、エマソン、リクールの思想の検討を通じて、本研究の問題の関連で捉えるための基盤を作り、問題の掘り下げを行うことができた。これは本研究計画の内容に準じており、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
後期レヴィナスの、現象学的時間論およびタルムード読解が示す時間論とローゼンツヴァイクの聖書翻訳論が示す時間論の比較研究から両者の言語に関する議論の研究を進めていく。この研究を20世紀の対話に関する哲学史のうちに位置づける作業を進め、最終年度のためにまとめていく。
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