研究課題/領域番号 |
20K12795
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
樋口 雄哉 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (40823034)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | レヴィナス / ジャン・ヴァール / エマニュエル・レヴィナス / フランス哲学 / 現代哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、レヴィナス哲学をヴァール哲学への応答として解釈できることを示すことを通じて、20世紀前半のフランス哲学を、レヴィナス解釈のためのひとつの参照軸として確立することを目指す。具体的には、「多元性」、「瞬間」、「超越」等の概念をめぐるヴァールの思想を、テキストの詳細な分析を通じて構造的に解明したうえで、この思想が、形成期のレヴィナス哲学のにおいてどのように継承され発展させられたかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
当年度は、「多元性」をめぐるレヴィナスとヴァールの比較研究を行った。まず、ヴァール『英国と米国の多元主義哲学』(1920)の読解を通じて、「多元性」に関して同著作が取り組んでいる課題と同著作が採用する方法とが明らかになった。またこの成果に照らしてレヴィナスの著作を再検討した結果、レヴィナスの1940年代の諸論考や講演および『全体性と無限』(1961)に見られる「複数者による存在」に関する議論を、ヴァールの取り組んだ問題への一つの解答として読むことは、少なくとも不可能ではないことが明らかになった。 また当年度は8月に、当初初年度に予定されていたもののCovid-19パンデミックの影響で延期されていたフランス出張を実施し、IMEC(現代出版資料研究所)のヴァール文庫にて、計7日間にわたって資料収集を行った。講義録やメモ等、ヴァール哲学の形成過程を精確に理解するにあたって助けとなるはずの貴重な資料をいくつか閲覧できたほか、レヴィナスとヴァールの交流に関する文書も閲覧することができた。だが、時間の制約により、目を通すことができたのは、本研究にとって必要な資料の一部にとどまった。 当年度12月には、日本ミシェル・アンリ哲学会刊行『ミシェル・アンリ研究』上で、本研究の成果の一部をもとにした論文「アンリとヴァール、近さと隔たり」を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヴァールの最初の著作における「多元性」をめぐる議論を理解するためには、ヴァールがベルクソン哲学をどのように受け入れ、またそれとどのように対峙しようとしているかを踏まえる必要がある。ヴァールとベルクソン哲学の関係を検討するための資料として、当年度もいくつかの文書を収集したが、十分であるとは言えない。この点で、当年度の研究は、予定よりもやや遅れていると言える。 当年度は、パンデミックの影響により延期されていた海外出張を実施し、IMECヴァール文庫やフランス国立図書館での資料収集を行った。しかしながら、当年度の出張の際にIMECで確認できたのは、本研究に必要な資料の一部にとどまり、ベルクソンに関するヴァールの文書も、すべてに目を通すことはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
IMECに8日程度滞在し、ヴァールのベルクソン理解を検討するために必要な資料を中心に、引き続き資料収集を行う。また、得られた資料をもとに、「多元性」をめぐるヴァールの議論がもつ哲学史的意義を明らかにしたうえで、同概念にかんするヴァールとレヴィナスの比較研究をさらに進める予定である。
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