研究課題/領域番号 |
20K12802
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
一色 大悟 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (20806567)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 倶舎論 / 科段 / アビダルマ / 説一切有部 / 近世仏教学 / 近代仏教学 / 近世倶舎学 / 説一切有部アビダルマ / 部派仏教 |
研究開始時の研究の概要 |
倶舎学とは,インド部派仏教の代表的文献『阿毘達磨倶舎論』を対象とする,東アジア・チベットで伝承された解釈学的研究を指す.特に近世日本で倶舎学は高度に発達し,その成果は近現代仏教学へと継承された.ゆえに現在の『倶舎論』研究の方法・問題意識等を批判的に再考するためには近世倶舎学の調査が必須であるが,その膨大な資料群を効率的に分析する手法さえ,いまだ確立していない. そこで本研究は,代表的註釈書である普光『倶舎論記』と東京大学所蔵近世倶舎学文献を中心資料とし,倶舎学文献が『倶舎論』へと与える科段(段落区分)をデータベース化することで,各文献の概略的性格を判別するための手法を考究する.
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研究成果の概要 |
本研究は、近現代仏教学の源流の一つとなった近世倶舎学にみられる、インド部派仏教の教理学書『倶舎論』科段(段落区分)に焦点をおき、複数の倶舎学文献の科段情報を人文情報学の手法を導入して分析することにより、それら諸文献の特性を析出する方法を吟味するものであった。本研究では、xmlのタグセットを用いた『倶舎論』科段の記述法を検討し、マークアップを行った。さらに複数の註釈書に記載された科段を比較することで、諸本における科段による構造化の特徴の一端を明らかにするとともに、近世仏教学における近代仏教学の萌芽を探求した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近世日本の仏教教団においては仏教文献研究が高度に発達し、そこで現れた近代仏教学の萌芽は、ヨーロッパからインド学を導入する素地を形成した。しかしながら、その近世における仏教学の実態はほとんど解明されておらず、仏教学史上、そして世界哲学史上の意義についても詳らかでない。本研究が近世仏教学のなかでも中心的分野の一つである倶舎学に焦点をあわせ、その研究の基礎構築を試みたことは、仏教学がその研究の枠組みを批判するための足がかりとして、さらには東アジアの学知の一伝統を解明するための基礎としての意義を持つ。
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