研究課題/領域番号 |
20K12804
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 恭哉 京都大学, 文学研究科, 准教授 (50709235)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 五礼 / 儀注 / 徐遵明 / 熊安生 / 常徳志「兄弟論」 / 顔之推『顔氏家訓』兄弟篇 / 典故(「分形同気」「無徳而称」) / 王通『中説』 / 兄弟観 / 顔之推 / 牛弘 / 北斉書 / 『顔氏家訓』 / 王倹 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は(A)南北両朝における「礼」の議論の交流と対立、(B)隋による南北両朝の「礼」の議論の吸収、(C)「五礼」と「儀注」の問題の三点から進める。(A)では正史や顔之推『顔氏家訓』から、南北両朝で生じた「礼」解釈の衝突の様相を精査する。(B)では南北両朝での「礼」の対立を、続く隋の礼学者が如何に消化したかを考察する。(C)では「五礼」から南北朝・隋の礼制を再構成し、「儀注」(儀礼・儀式の式次第)が隋に重視された理由を検証する。 本研究では礼学者の「礼」認識に即し、「礼」解釈とその運用を一連に見ることで「礼学」を総体的に捉え、南北朝から隋に至る「礼学」の変遷を丹念にたどる。
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研究成果の概要 |
本研究では、実際の礼学者における礼の認識や、五礼・儀注といった礼認識が反映された儀礼とその編纂事業などに注目しながら、南北朝時代から隋にかけての礼学の変遷をたどることに意を注いだ。 取り上げた礼学者の一人が、北朝の北斉・北周を生きた熊安生である。研究の過程で、彼の学術活動の中に五礼編纂の実績を見出すとともに、その学術的な成果が隋や唐にどのような影響を及ぼしたのかについても考察した。また南北朝時代の兄弟をめぐる議論を複数精読することで、当時の兄弟観と礼学の関係を検討し、同時にそこでの典故の継承の実態を探ることで、当時の学術の展開の様子についても、明らかにする部分が多くあった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の礼学研究は、礼に関する経典とその解釈(注釈)をめぐってなされ、五礼や儀注は末節としてあまり重視されてこなかった。本研究ではこれまで不明な点が多かった北朝における五礼編纂の過程を跡付け、それに携わった熊安生など、多くの学者による礼に対する認識について考察したことが、第一の学術的意義として挙げられる。また北朝から隋・唐へと経学の連続があることは、これまでにも言及があったが、それを礼学上の具体的な議論としてはっきりさせたことが、第二の学術的意義である。そして研究の中で、兄弟と礼という現代にも通用する問題点に着目することがあり、これは本研究をして社会的意義を具有せしめることとなった。
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