研究課題/領域番号 |
20K12807
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
横山 裕明 大正大学, 綜合仏教研究所, 主任 (20794043)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 底哩三昧耶王系経軌 / 日常的実践 / Trisamaya / 出家修行者 / 中期密教 / 大日経 / 不動讃 / 胎蔵大日如来 / 日常勤行法則 / 胎蔵大日如来真言 / 密教行者 / 底哩三昧耶経 / 底哩三昧耶成就法 / サンスクリット写本 / 密教行者の生活規範 / 金剛乗根本堕罪 / 戒律 / インド密教 |
研究開始時の研究の概要 |
初期の仏教において、戒律文献は三蔵と呼ばれる聖典群の一角を担う律蔵として纏められ、出家者の生活規範という重要な役割を果たしていた。しかし、インド密教には戒律が中心の文献は見出せず、わずかに見出せる律的な内容はいずれも端的であって現段階では比較資料として耐え得るものではない。そこで、密教に共通する罪の規定とされる金剛乗根本堕罪を研究の軸に置き、「なぜ戒律の記述は仏教の密教化という時代の流れと共に消えていったのか。また密教では何が生活規範となり、それはどのような変遷を辿ったのか。そして、その変遷から窺える密教僧の社会的なステータスとは何か」という学術的な問いを解決するための基礎資料を提供する。
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研究成果の概要 |
本研究はインドにおける密教行者の日常的な修行と生活に焦点を当てたものである。特に、密教行者が朝に起きてから夜に眠るまでの規範が示されている『底哩三昧耶王経』と『底哩三昧耶王成就法』を取り上げ、文献学的手法を用いて読解をおこなった。その結果、密教行者たちの日常的な修行と生活の実態が明らかになり、それらの規範の変遷についても浮き彫りになった。その上、『底哩三昧耶王経』は改めて真言密教の主要経典である『大日経』と密接な関係があることが判明した。主要な研究成果は『底哩三昧耶王成就法』全体のサンスクリット語とチベット語訳の校訂テクストおよび和訳の公表である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の中核に置いた底哩三昧耶王系経軌は古来より真言密教の所依経典『大日経』との関係が指摘されていながら研究がほとんど進展してこなかった。まず、この経軌に改めて光を当てた点は大きな学術的意義といえる。また、本研究によってインド中期密教時代を中心とする修行生活の一端が垣間見え、現代日本密教における修行生活と酷似する要素も確認できた。そのような要素の中でも胎蔵大日如来真言や不動讃の読誦、食事や就寝時の作法等について校訂テクストと現代語訳を提示できたことは大きな成果といえる。これらの成果は仏教の内部だけに留まらず、シヴァ教を始めとする他宗教を解明する上でも有用な比較資料となるであろう。
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