研究課題/領域番号 |
20K12820
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
菊川 一道 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10828205)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 九州真宗 / 曇龍 / 七里恒順 / 龍華学派 / 龍華教校 / 甘露窟 / 近世仏教 / 空華学派 / 空華盧 / 僧鎔 / 道隠 / 塾則 / 正統と異端 / 宗学 / 近代仏教 / 近代真宗 / 江戸宗学 / 日溪法霖 / 日溪学則 / 学林 / 尺伸堂 / 真宗 / 私塾 / 僧侶養成 |
研究開始時の研究の概要 |
近代公教育の特徴である一元的教育システムとは異なる教育機関として私塾に注目が集まって久しい。ただし経営者に僧侶が多かったという実情とは裏腹に、仏教系私塾の実態は未検討の状態である。特に浄土真宗には私塾が多かった。背景には、在野の学僧の勝利に終った三業惑乱以降、学轍分裂と相まって各地の私塾が発展したという事情がある。真宗私塾ではどのような環境のもと、いかなる教育が行われていたのか。本研究では、主に文献学的手法を通して真宗私塾の実態解明を行う。地域社会から仏教寺院が果たした役割を再考することで、教団政治家や学僧などの仏教系知識人を対象に描かれてきた近世・近代仏教史の見直しと再構築を試みる。
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研究実績の概要 |
2022年度は、まず前年度の研究成果を日本宗教学会第81回学術大会において「本願寺派における「主流派」の誕生-空華学派とその私塾経営-」と題して発表した。同発表に基づく論文は、『宗教研究』(第96巻別冊、2023年)に掲載された。また、筑紫女学園大学・人間文化研究所主催の研究会において「九州真宗の私塾と教育」と題して、特に北部九州における真宗私塾の概要を整理分析して発表した。 さらに研究実施計画に従い、引き続き真宗私塾に関する史料蒐集に努めつつ、①近世・近代の本願寺派において最大勢力を誇った空華学派の私塾群の分析を行った。また新たに②博多萬行寺に設置されていた龍華教校(旧甘露窟)の史料調査および分析も行った。 ①に関して、奈良県下市の瀧上寺において史料調査を実施した。瀧上寺は空華学派の祖師僧鎔が育てた柔遠と道穏という二人の高弟の流れを汲む学僧が「藤華閣」「華蔵閣」と称される私塾を経営していたことが伝えられるが、その実態は未詳であった。今回、未整理であった同寺の書庫を整理しつつ、特に私塾関連の史料を蒐集した。そこで「空華蘆塾則」が発見されたことにより、同寺の塾が空華学派の所属であったことが同定された。また、同学則が新たに確認されたことで、以前詳らかにした空華学派の新学派設立を拒否する「空華蘆塾則」の方針が実際に地方において機能していた実態も浮き彫りとなった。 ②に関して、筑紫女学園大学・人間文化研究所の真宗文化史研究会が行う博多萬行寺の史料調査に同行した。萬行寺には龍華学派の曇龍と、説教の名手として全国的に名を馳せた七里恒順が経営した「甘露窟」や「龍華教校」と称された教育機関が存在したが、その実態は明らかでなかった。新出史料である「曇龍伝」や塾則、入校生名簿等を手がかりに、甘露窟の設立経緯や龍華教校へと改編される経緯などについて分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、コロナ禍で延期していた空華学派の関係先寺院での史料蒐集を行うことが出来たが、過去の延期の影響により分析に時間を要しているため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降、真宗私塾の黎明期や原初形態についての分析を踏まえて、近世・近代を通じて最大数の塾を擁した空華学派の私塾群について実態解明を行ってきた。2023年度は、引き続き瀧上寺において史料の整理と蒐集、分析を行うことで、真宗私塾の成長期の歴史状況を明らかにする。また萬行寺で蒐集した史料についても整理分析を行い、空華系とは異なる学派の私塾の実態を考察することで、真宗私塾について重層的に明らかにする予定である。
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