研究課題/領域番号 |
20K12822
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 南山大学 (2022) 立命館大学 (2021) 国立民族学博物館 (2020) |
研究代表者 |
石原 和 南山大学, 南山宗教文化研究所, 研究員 (50812038)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 近代如来教 / 受持仏堂 / 近世近代移行期 / 講社 / 神社 / 新宗教 / 民間宗教者 / 民衆宗教 / 如来教 / 稲荷講社 / 長澤雄楯 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、幕末~明治期の新宗教運動を、組織の境界を越えて往き来する宗教者の活動に注目して再分析することで、新たな宗教史像を提起する。近年の日本宗教史の見直しは新宗教研究の成果を含んでいない。ここでは、自らの活動に公認を得ようとする段階にあった教団未満の宗教者を分析対象とし、彼らの活動とその背景となった体制を関連付けた宗教発生史という視点を持ち込むことで、宗教史の全体像の再構築を図る。
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研究実績の概要 |
本研究では、幕末~明治期の新宗教運動を、組織の境界を越えて往き来する宗教者の活動に注目して再分析することで、新たな宗教史像を提起する。近年の日本宗教史の見直しは新宗教研究の成果を含んでいない。ここでは、自らの活動に公認を得ようとする段階にあった教団未満の宗教者を分析対象とし、彼らの活動とその背景となった体制を関連付けた宗教発生史という視点を持ち込むことで、宗教史の全体像の再構築を図る。 以上の目的から、次の研究を進めた。 (1)近代如来教史料の調査・整理と分析。これまでわかっていなかった明治期の如来教の動向がみえる史料群の整理を進めた。前年度までに進めてきた史料整理・翻刻作業に基づいて、その内容や歴史的意義をまとめ、公表を学界に示す作業を行った。具体的には、①「清水諫見旧蔵如来教関係史料刊行シンポジウム 近世近代移行期の如来教と宗教制度」(共催:南山宗教文化研究所)を行い、②石原和ほか編『近代如来教と小寺大拙ー研究と史料』(一般社団法人日本電子書籍技術普及協会)を刊行した。 (2)近世近代移行期の宗教者の活動基盤としての仏堂の研究。(1)の史料に基づいて進めてきた、神道制度に寄り添った形式ではない、宗教者の活動公認の基盤としての「仏堂」に関する研究を進めた。如来教が近隣にある寺院の「受持仏堂」となることによって公的に活動できたことに加え、愛知県内の他の仏堂の管理の仕方と如来教のように宗教者の拠点となった例を発見、分析し、日本宗教学会及び関連する研究会で発表した。また、より普遍的な仏堂のありようを探るため、東京都で史料を探し、おおよそ分析ができるくらい確保した。 (3)神社講社と宗教者の活動公認。静岡県清水の稲荷講社が、他地域で活動した例に注目し、講社と講社下の宗教者の活動の関係についての分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
作業面でも、環境面でも順調に進展している。 予定通り、近代如来教に関する成果をまとめられた。 愛知県に異動した結果、東海圏の研究者とのネットワークをつくりあげることができ、その中で、愛知県を拠点とした如来教、静岡県を拠点とした稲荷講社について、地域的な問題と関連する新たな知見が得られるようになった。 また、近世近代移行期という問題についても、興味の近い研究者と話をし、研究ネットワークを作成する準備を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、近代如来教関係の研究が順調に進んだ反面で、一部の内容を後回しにすることになってしまったため、今年度も再掲する内容もあるが、下記のように進める。 (1)近世後期の宗教動向に関する研究。金毘羅信仰と如来教の接触を事例に、近世如来教の宗派意識の向上過程を、当時の名古屋の宗教動向と関連づけながら、論文化する(入稿中)。 (2)静岡県清水で展開した月見里神社・稲荷講社を例に、近代初期の民間宗教者を支えた組織・体制に関する論文を執筆する。これまでの成果によって、講社が講社所管教会を包括することができたことは見たが、その上部組織である神道教団との関連については不十分だった。島根県で大社教での史料調査を行い、それに基づいて、神道教団-講社-講社所管教会という、組織の全体像を明らかにする。また、2022年度に東京で実施した史料調査の成果に基づいて、その地方展開と宗教者の活動公認の関係について分析する。 (3)本研究のまとめとして、これまでに明らかにしてきた仏教系の宗教者活動公認システムと神道系の活動公認システムの全体像を示し、こうした方法をとった(とらざるをえなかった)政策展開との関連を分析する。
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