研究課題/領域番号 |
20K12823
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
|
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
牛窪 彩絢 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, アソシエイトフェロー (40847117)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 葬墓制変容 / 殯 / 琉球 / 風葬 / 洗骨 / 墓地埋葬法 / 墓地行政 / 南西諸島 / 葬墓制 / 死生観 / 葬送儀礼 / 沖縄 / 八重山 |
研究開始時の研究の概要 |
南西諸島には、戦後に火葬が普及するまで広く風葬の習慣があったことが知られている。風葬を含む同地域の葬墓制の研究は、近年では考古学が中心となり、徐々にその変遷が解明されてきたが、地域制や多様性に富む同地域の葬墓制は一概に類型化が出来ず、確固たる学説がないまま膠着している。また、多様な葬制が近世になぜ風葬に収斂するのか、その理由については未だ明確な答えはない。本研究は、土葬から風葬への変化が明確な八重山列島に注目し、考古学とは異なる宗教史学的アプローチを用いて風葬が諸島に定着する社会基盤を考察する。また、今や急速に失われつつある風葬文化を後世に残すため、伝承の記録保存を行うことも目的とする。
|
研究成果の概要 |
本研究は、宗教学的手法で風葬が琉球諸島に定着する社会基盤等を考察することを目指した。 研究の過程で、近世琉球王朝にて風葬と区別される「殯」の期間が設けられていたことが分かり、「殯」の実態や成立起源の検討を行った。その結果、「殯」/風葬の広まる社会基盤として、儒教などの成立宗教の影響は希薄であったことが分かった。また、成立起源を歴史学的に説明することが困難なことが分かり、死生観からの構造分析を試み、世界観研究にも踏み込むことができた。 一方、葬墓制変容をもたらすものは死生観よりも、火葬化、産業化、墓地行政等の為す役割が甚大であることもわかった。今後は、近代化政策等からの社会学的分析が肝要となる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究過程で近世琉球王朝の「殯」の期間を発見し、これまで風葬や日本古代のモガリと混同されてきた研究状況を指摘しつつ、基礎的研究データを示せた学術的意義は大きかったと言える。また、歴史学的・機能的分析だけでなく、死生観からの構造的分析を交えた論文を発表できたことは、琉球葬墓制研究に学際的視点を投げかけたという点で有意義であったと思われる。 また本研究は、急速に風化する風葬文化を後世に残すため、記録保存を行うという目的も有していた。そのため、関係者より記録映像を入手するとともに参与観察・インタビューを通して一次資料を得たため、公開方法について課題はあるものの、社会的意義も果たすことができたと考える。
|