研究課題/領域番号 |
20K12836
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 東北大学 (2021-2022) 大谷大学 (2020) |
研究代表者 |
大澤 絢子 東北大学, 国際文化研究科, JSPS特別研究員(PD) (50816816)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 教祖像 / 歴史小説 / 歴史研究 / 表象 / 大衆文学 / 演劇 / メディア / 大衆小説 / 表象文化 / 大衆メディア / 日本文化史 / 仏教文学 / 近代歴史研究 / 近代仏教 / 教祖イメージの形成 / 教祖のイメージ形成 / 近代歴史学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「大衆文化としての教祖像」の視座より歴史学と文学の相互関係を検証することで、近代日本社会において教祖像が形成されてきた意義を解き明かす。 各年度において段階的に、最澄・空海・親鸞・日蓮といった教祖にまつわる近代歴史学の言説と、同じく彼らを取り上げた歴史小説との相互関係を言説分析によって検証する。研究の対象時期は、実証主義的な近代歴史学が発達する一方で、小説や雑誌など歴史を叙述する大衆文化メディアが一般化していく明治末から昭和期とする。 本研究を通して、教祖像が史実と創作の双方を通して教団の外側でイメージ化されていく近代日本の宗教受容の実態解明を目指す。
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研究成果の概要 |
近代日本における仏教の教祖(宗祖)イメージの再編成には、教団内の教義や伝統と一線を画すアカデミズム(歴史研究)と社会(特に文学)の双方が関わっている。例えば親鸞は、明治以降、史実の検証により歴史上を生きた生身の親鸞が明らかにされていく一方で、この「人間親鸞」が文学の主題となっていく。 近代日本の教祖像の形成過程で見られたのは、史実と創作の言説がときに重なり合い、歴史を叙述する語り手と受け手の関わり合いによって生み出される複雑な形態であった。本研究を通して、教祖像形成の具体的なプロセスや教祖間の相違を明らかにし、日本仏教史の全体像の再構築に向けた基盤の整備ができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
宗教者のイメージに関しては近年、西洋における釈迦像や日本の釈迦像が、伝記や文学、映画等を通していかに変化し、受容されてきたのかを解明する研究が評価されつつある。しかし、日本では釈迦よりも中心的な位置を占める各宗派の教祖のイメージ形成に関する研究は極めて少なく、史実を検証する近代的学問の影響力が過大に捉えられる傾向にある。 そのような現状において、教祖像形成における歴史研究と創作の関係性やその実態を問う本研究は、学術的に大きな意義がある。教祖像は、「作家・学知・大衆・教団」の間の交渉を通して形成されており、研究はこうした特異な日本の宗教の動態を理解することにも貢献する。
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