研究課題
若手研究
本研究は、①北の「革命」論に対する中国革命の思想的影響を明らかにすること、② ①を踏まえたうえで『支那革命外史』から『日本改造法案大綱』へ至る北の「革命」構想の変化を明らかにすること、の2点を目的とする。この目的を達成するための研究の柱は以下の4点である。1.『支那革命外史』における「革命」論の分析2. 孫文・章炳麟の「革命」論との比較分析3.『日本改造法案大綱』執筆に至る背景の分析4.『日本改造法案大綱』における「革命」構想の分析
本研究は、北の主要著書3冊(『国体論及び純正社会主義』『支那革命外史』『日本改造法案大綱』)をテキスト化してデータ分析を行い、この分析結果をもとに、①『外史』全体を分析し、変革期の北の「革命」論を抽出すること、② ①の結果を踏まえたうえで北の「革命」論に対する中国革命の思想的影響、『外史』から『法案大綱』へ至る北の「革命」構想の変化を明らかにすること、の2点を目的としている。22年度は主として、(1)主要著書3冊のテキスト化(基礎データの作成)、(2)『国体論』から『外史』にいたる、北の人間観の変化の分析を進めた。(1)のテキスト化については、院生アルバイトを雇用し、誤字・脱字の確認や統計的なデータ分析に必要となる旧字体や変体仮名の変換などを進め、『国体論』および『外史』前半部まで完了した。(2)については、(1)で作成した基礎データの分析をもとに、北の人間観にどのような変化がみられるのか、「個人」「国民」「人民」「群衆」など、人をあらわす言葉に着目しながら分析した。その結果、『外史』前半部ではじめて恐慌状態に陥り判断を誤る「群衆」が登場し、また後半部で、明治維新の記述のなかに革命の意義(天の結論)を理解できない人が描かれることが判明した。次年度はこれらの分析結果を踏まえ、従来より指摘されている北の法華経への傾斜が彼の人間観の変化とどのように関係しているのかを分析し、その延長として、北の『革命』論が日本やアジアにおいてどう位置づけられるのかを考えたい。
4: 遅れている
テキスト化した主要著書3冊の基礎データの確認・修正作業(誤字・脱字の確認、統計的なデータ分析に必要となる旧字体や変体仮名の変換など)は、データ分析の要であり、緻密さが要求される。このため、ある程度の専門知識を有する院生アルバイトの雇用を予定していたが、見込んでいた院生が休学したことにより、アルバイトの手配に時間を要した。昨年度は2名雇用し、2冊目の『外史』前半部まで作業を進めることができたが、就職活動、修士論文執筆等の事情により、今年度の雇用は未定である。
テキスト化した著書3冊(基礎データ)の精度を高めるとともに、統計分析に必要となる旧字体や変体仮名の変換などの作業を進める。またそのデータをもとに、北の法華経への傾斜が彼の人間観の変化とどのように関係しているのかを分析し、その延長として、北の『革命』論が日本やアジアにおいてどう位置づけられるのか、孫文や章炳麟の革命論との比較も視野にいれて考察する。
すべて 2021
すべて 図書 (2件)