研究課題/領域番号 |
20K12843
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
北村 匡平 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (70826502)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 有名性 / 映画スター / ジェンダー / ナショナリズム / メディア / 戦後民主主義 / 国策映画 / プロパガンダ / 有名人 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の映画研究は主流だった作家の研究から離れ、スター/セレブリティを対象とする文化研究が注目されているが、日本における有名人の事例研究は、ほとんど展開されてこなかった。 本研究の目的は、戦時期や戦後民主主義のイデオロギーを有名人がいかに体現しているかを分析することである。大衆の欲望を理想化し、危機を投影する象徴的なアイコンである有名人を対象とし、いかにして規範が体現・ 強化されたのかを解明する。 セレブリティの表象分析と諸メディアの言説分析を組み合わせ、「女性」や「子供」がいかに意味づけられ、どのような機能を果たしているかを分析することで、戦中・戦後の映像文化研究に寄与することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は戦中から現代に至る映像メディアで表象される有名人/有名性を言説との関わりから分析し、戦後のナショナル・アイデンティティがいかに構築されてきたかを明らかにするものである。そのために戦前から現代までのセレブリティのイメージと言説を扱う。したがって、一次資料として映画などの資料をアーカイブをし、また言説に関しては同時代の雑誌メディアを中心に資料を収集している。 資料調査に関しては、昨年同様、映像資料のアーカイブと雑誌の資料を集めて、歴史ごとに分析してきた。国外出張は難しかったため、都内の国会図書館で定期的に資料を集めて分析した。 監督としても実績を残した田中絹代の資料や、90年代末に女性アーティスト史に大きな言説を残した椎名林檎などを分析し、文芸誌に連載していた論考をまとめて加筆修正し、『椎名林檎論:乱調の音楽』(文藝春秋)として刊行した。 また現代の有名性の重要な対象としてバーチャルYouTuberを以前から分析してきたが、メタバース空間における有名性の視点から「メタバースとバーチャルリアリティの現在」という対談を行った。また国外ではあるが、世界的なスター女優である韓国映画のチョン・ドヨンに関する論考「虚空と慟哭──チョン・ドヨンの演技」を発表した。今年度は資料収集とアーカイブの作業と分析を中心に進めたため、今後は執筆を行うと同時に、コロナ禍で行けなかった国外の資料調査にもいく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行によって制限されていた国会図書館の抽選制度がなくなり、以前よりも頻繁に資料調査にいくことができた。しかしながら調査が国内のみになったためアメリカでの調査ができなかった。90年代の有名性とジェンダーの分析は進められたが、占領期の資料収集が限定的になってしまい、戦後直後の分析をあまり進められなかったため、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は引き続き、映像資料のアーカイブと雑誌メディアの資料収集・分析を行いながら、資料が不足している戦中・占領期の資料を集めていきたい。本研究は2020年の開始と同時にコロナ禍となり、予定していた国外出張がまったくできていなかったため、機会を見つけてアメリカでの調査を進めていく予定である。
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