研究課題/領域番号 |
20K12844
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 北九州市立大学 (2021-2023) 一橋大学 (2020) |
研究代表者 |
高木 駿 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (90843863)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 美学 / カント哲学 / 醜さ / 崇高 / 自然 / 価値 / 哲学 / カント / 感情 / 認識論 |
研究開始時の研究の概要 |
近代美学では、「美」が「善」から独立したことに伴い、「悪」と混同されてきた「醜」も、独立した一つの概念と見なされるようになった。現代に入ると、醜さは、崇高との強い連関が発見され、美の範疇では理解不可能な芸術を説明するための美的範疇として定着した。しかし、醜さは、崇高と関係しない場合もあり、芸術にのみ限定されるものでもなく、特に「自然の醜さ」が未解明のままに残されている。本研究は、「自然の醜さ」の解明を行う。そのために、 カントの美学理論を用いる。カントの理論は、自然を対象とする理論であると共に、不快の感情に基づき、崇高と関わる醜さをも含めた様々な種類の醜さを説明できるからである。
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研究実績の概要 |
2023年度は、I. カントの『判断力批判』(1790)の考察を通じてこれまでに解明してきた種々の自然と不快・醜さとの対応関係を示すと共に、別種の醜さどうしの関係性を明らかにすることで、「自然の醜さ」に関する美学理論の体系化を試みた。まずは、どのタイプの自然にどの種類の不快・醜さが可能であるのか、また適合するのかを検討し、自然と不快・醜さとの対応関係を考察した。つぎに、不快一般のあり方の基軸となっている構想力の働き、および、構想力と他の能力(感官、悟性、理性)との連関に着目することで、別種の醜さどうしであっても関係するのか否か、関係する場合には、そこに連続性、段階性、階級性が存在するのか否かを検討した。 本来であれば、こうした研究によって、「自然の醜さ」の美学理論を体系化し、その醜さの解明と分類という本研究全体の目的を遂行する予定であった。しかしながら、体系化に関して、体系を体系たらしめる原理を確定することができず、原理の問題をこれからの発展的な問題にせざるをえなかった。また、より発展的な課題として、醜さの美学理論が持つ意味を考える必要が生じた。つまり、醜さの美学理論が体系化された際に、その理論自体がどのような効果を持つのか、あるいは、美しさの理論と比較においていかなる位置を持ち、いかなる役割を果たすのか、といった問いの探究である。これらの発展的問題は、次の研究課題として引き継がれることとなった。 また、論文や学会発表などの客観的な成果を年度内に発表できなかった点も悔やまれる。しかし、成果物については、『醜さの美学』という単著の執筆がほとんど完了しており、2024年度内の出版を目指している。
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