研究課題/領域番号 |
20K12848
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 京都精華大学 (2022) 日本女子大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
山田 小夜歌 京都精華大学, 国際文化学部, 講師 (40825204)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | エクセルシオール / 翻案 / アダプテーション / バッロ・グランデ / ミュージックホール / ヴァラエティ劇場 / ロンドン / イタリア / 劇場文化 / 歌劇場 / ミラノ・スカラ座 / バレエ / ダンス / 舞踊 / 劇場 / ヴァラエティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19-20世紀転換期の西欧において多様な劇場文化が栄えていた都市、とくにロンドン、パリ、ミラノに着目し、従来、高級文化と大衆芸能の対立構図上に挙げられることの多かった「大劇場」と「大衆劇場」双方のバレエについて、上演実態とその背景、評価、受容を明らかにするとともに、双方の影響関係を検証することで、同時期西欧の多面的なバレエ上演のあり方を考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、歌劇場などの「大劇場」と、ミュージックホールやヴァラエティなどの「大衆向けの劇場」におけるバレエの相互連関の事例を検証し、19-20世紀転換期西欧の多様なバレエ上演のあり方を捉えようとするものである。 2022年度は、昨年度の事例研究からみえてきた英国の大衆的劇場とイタリアの大劇場文化の関連に着目して史資料調査と分析を行った。世紀末イタリアを代表する振付家ルイージ・マンゾッティの「バッロ・グランデ」作品群、とくに《エクセルシオール》の世界的な展開は、以降の大劇場と大衆的劇場の相互連関をさらに進める契機になったと思われる。この仮説を具体的に検証するため、従来の《エクセルシオール》の作品研究およびアダプテーションに係る二次文献を精査した。さらに、同作の英国での翻案上演の実態と受容およびその後の影響について、デジタルアーカイブを用いて新聞雑誌記事の調査を行い、手元にある一次資料とあわせて分析・考察を進めた。本年度後半には、イタリア国内の資料・図書館等施設のオンライン調査の制限が緩和されアクセス可能な資料が増えたことで、英国ほか各地での翻案上演に関する史料も複数入手することができた。 また、《エクセルシオール》の日本への伝播とアダプテーションについても考察を行い、研究成果の一部を所属学会にて発表した。本研究課題は主に西欧の事象を扱うものだが、この検討を通して、個々のバレエ作品の特色、各種劇場の社会的位置づけ、劇場の存立とそれにかかる上演作品の選定・改訂が、それぞれ相互に連関しつつ展開していく様子があらためて浮き彫りになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度よりコロナ禍の影響を受け、さらに世界情勢の悪化により海外での現地資料調査が実行できていないことが最大の理由である。加えて本年度は申請者の所属機関異動により新規学内業務への従事等に時間を充てたこともあって、研究は当初の予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度中に検討を進めてきた《エクセルシオール》の翻案上演と受容、および各種劇場の存立とのかかわりについて、学術雑誌に投稿するための準備を行う。また、海外渡航の具体的な見通しがついたため、国外での資料調査を実施する。これまでオンラインアクセスが不可能だった史資料を渉猟し、既存の資料とあわせて精査を行うことで、とくに世紀転換期の英国の大衆的劇場とイタリアの大劇場文化の親和性ついて、政治や社会などより広い視点からとらえるべく考察を進めたい。
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