研究課題/領域番号 |
20K12857
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
辻 絵理子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (40727781)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ビザンティン美術 / 西洋美術史 / キリスト教図像学 / 写本挿絵 / 聖堂装飾 / 余白詩篇写本 / イメージとテキスト / 詩篇 / 註解 |
研究開始時の研究の概要 |
あたかも初めから完成品しか存在しなかったかのように、ビザンティンの詩篇写本は揺籃期と呼べる作例を残さないが、全151篇のテキストはそれぞれ、新旧約の様々なテキストや神学的著作を踏まえて解釈され、多様な図像が施されている。各写本の制作には、非常に高度な神学知識を有した人々が関わっていたことは明らかである。本研究計画ではヴァティカン図書館ギリシア語写本1927番を中心に、現存する写本の図像、及び聖堂装飾プログラムとの関連性を分析するものである。同写本の全体像を明らかにするだけでなく、写本挿絵と聖堂装飾という、ジャンルを超えた図像の比較検討を行う。
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研究成果の概要 |
これまで精緻な検討が行われていなかった写本の挿絵と本文の関係、同じ箇所に挿絵を有する詩篇写本の構成を比較検討し、全銘文を訳出する論文を、継続的に発表している。これは1927番の研究に留まらず、挿絵を持つビザンティン詩篇写本の全ての再検討となる。また、カッパドキアのトカル新聖堂、北小祭室を中心とした装飾プログラムについての論文を、ライデンから出版された単行本で英文にて発表した。年度内には収まらなかったが、2024年5月に開催された国際シンポジウムでは、テサロニキのアギオス・ニコラオス・オルファノス聖堂について発表した。その内容を英語論文にまとめたものが同年度内刊行予定の雑誌へ掲載が決まっている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
上記の成果は挿絵を有するビザンティン詩篇写本の総合的な研究であり、曖昧な典拠を持つ図像の本文との関係を分析していく上で不可欠なデータを積み重ねる論文を継続的に発表していることは、図像及びテクストの今後の研究に大きく寄与するものであると考える。また本研究期間中、半分は現地調査に行けなかったため、英語での発表を口頭、論文ともに行ったことが、読者を増やしたのみならず、大家と呼べる海外研究者との交流のきっかけにもなった。カッパドキアのトカル新聖堂の論文はスバタラキス元教授、テサロニキのオルファノス聖堂の発表と論文はセモグルウ教授から非常に有益なコメントを頂き、交流を続けている。
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