研究課題/領域番号 |
20K12860
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 (2023) 東京藝術大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
大和 あすか 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, アソシエイトフェロー (30823752)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 津島版画 / 錦絵 / 地方版画 / 浮世絵版画 / 版木 / 津島 / 色材 / 技法材料 |
研究開始時の研究の概要 |
江戸で誕生した錦絵の技術が伝播・享受され、地方の版画文化を彩ったことはほとんど知られていない。本研究では、地方版画の中でも多色摺の優れた版画と貴重な版木資料が残ることが近年明らかになった津島版画を調査対象とし、科学的手法を用いて版画や版木の技法材料の調査と津島版画に関連する歴史資料を整理し、江戸錦絵との共通性や特異性を比較する。地方版画の一つである津島版画を取り上げることで、地方都市において技術的に優れた版画を製作することができた文化背景や職人集団のネットワークを明らかにし、地方版画研究の発展に資する研究とする。
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研究成果の概要 |
江戸後期から明治期にかけて津島市周辺で制作された浮世絵版画(以下、津島版画)30点について、蛍光X線分析、蛍光測定、分光反射率測定を中心とした色材分析とマイクロスコープ、厚み計等を用いた支持体の紙質調査を行った。 津島版画は江戸錦絵と共通する材料や技法が用いられているものと考えていたが、江戸錦絵とは一部異なる彩色材料が用いられていたことを確認した。また、制作年代の推定には、今まで図像や形態から大まかな年代を推測する方法が取られていたが、色材調査を行うことで、天保期以前、天保期から嘉永期半ば頃、嘉永期から明治初め頃、明治期以降と制作年代を分類できる可能性があることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、愛知県津島市周辺で制作された津島版画の制作年代について、江戸錦絵の色材研究を基軸とすることで、天保期以前、天保から嘉永中期、嘉永から明治初期、明治以降、20世紀以降(再摺)の五期に分類できる可能性があることを示した。制作年代の推定は、津島版画の技術的・材料的な独自性や、周辺地域との技術交流の関わりやその影響を解明する一助となる。また、津島版画は地方版画の一つとして近年注目を集め始めており、本研究によりその歴史的価値がさらに高まったと考えられる。
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