研究課題/領域番号 |
20K12863
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 武庫川女子大学 (2023) 立命館大学 (2022) 嵯峨美術大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
加茂 瑞穂 武庫川女子大学, 文学部, 助教 (70705079)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 図案 / 染織 / 京都 / 近代 / 工芸 / 図案集 / 雛形本 / 図案教育 / 美術工芸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、美術工芸製品の参考となるアイデアが描かれた「図案集」の収蔵状況を明治期の京都を中心に把握し、どのような図案集が「ものづくり」において求められてきたのかを明らかにするものである。19世紀末から日本では図案の重要性が認識され、政府主導で美術工芸品や産業製品の新たな図案が求められた。明治20年代以降、京都から図案集が数多く出版され、日本の美術工芸品や産業製品を制作するための参考資料とされた。しかし、図案集の現存状況や所在情報が共有されず、具体的な図案集活用の実態が掴めていない。本研究では、明治期に流通した図案集や関連書籍の所蔵機関に残された購入記録を把握した上で、分析を進める。
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研究実績の概要 |
本研究は、美術工芸製品の参考となるアイデアが描かれた「図案集」の収蔵状況を明治期の京都を中心に把握し、どのような図案集が「ものづくり」において求められてきたのかを明らかにするものである。本研究では2023年度、以下3点を実施した。 1.昨年度までの図案集が所蔵される機関に対する図書原簿調査を踏まえ、データベースを構築した(「図案関連資料所在目録データベース」」。対象は国立国会図書館及び京都府立図書館、京都工芸繊維大学である。購入・納入時期、書名、著者、所蔵先が検索できるシステムで、所蔵機関の許可が下り次第順次公開予定。
2.図案集の書誌調査を順次再開した。京都府立京都学歴彩館へ調査に行き、明治期に購入あるいは寄贈された図案集の調査を実施することができた。OPAC等では購入時期を追うことができないため、書誌調査を実施することで、さらに詳細な情報を収集することができた。
3.武庫川女子大学附属総合ミュージアムが所蔵する近代のきもの及び裂資料の調査を実施することができた。調査では、染織図案がきものや和装品などの製品として実際に制作されるにあたり、図案が製品へと展開され、市場に流通する様相を調査することができた。また、その成果を武庫川女子大学附属総合ミュージアムが主催する展覧会において紹介することができた。展覧会の企画立ち上げ段階から参画し、展示構成及び展示品の選定を実施した。展覧会実施には複数の近代きもの研究者が参加する研究会を開催することができ、それぞれ異なる視点から近代のきものを検討することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
明治期における図案集の所蔵状況について、目録や原簿より情報を抽出して蓄積してきた。2023年度にそのデータを一元的にまとめ、データベースを構築することができた。帝国図書館、京都府図書館、京都高等工芸学校等を対象として、2,000件程度の情報をデータベースに掲載することができたため、当初の目標以上にデータを集めることができたと評価している。 明治期の図案集は工芸や産業に影響を与えているが、購入時期や共通して所蔵する図案集の傾向を考察する環境がなく、図案集の所在情報自体が十分に整理されていなかった。そのため、本データベースは新たな情報を提供できたため、図案集研究に対しての重要な研究基盤となる。 しかし、データを活用した上で、所蔵状況や傾向などの考察を深め、研究成果を発表することが十分にできなかった。また、書誌調査の実施件数がやや少なかったため、このような評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
京都市を中心として、図案集所蔵機関の原簿の記載情報を順調に蓄積することができたため、今後は所蔵資料を閲覧して得られる情報を蓄積し、具体的な考察をすすめる。特に、各館に共通して収蔵される図案集や収蔵状況の傾向を分析及び考察を実施し、研究成果をしかるべき形で発表する。また、特に明治後期に出版された図案集を通じて、江戸期の文化をどのように近代として捉えていたのかについて分析を進めていく。 2023年度にデータベースの構築を完了したため、所蔵機関との調整を進めながら今年度中に可能な限り公開に踏み切りたい。また、データベースの情報についても再度確認と修正をおこない、さらに精度を高める。
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