研究課題/領域番号 |
20K12872
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
西木 政統 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 主任研究員 (90740499)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 最澄 / 天台宗 / 延暦寺 / 根本中堂 / 浅草寺 / 十二神将 / CT / 不動明王 / 大威徳明王 / X線CT / 円仁 / 薬師如来 / 阿弥陀如来 / 模刻 / 仏像 / 模像 / 薬師信仰 / 摸像 / 霊像 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本彫刻史における「模刻」という行為に注目し、主に天台宗の事例を通してその背景を解明するものである。先行研究によって、平安時代以降、著名な仏像が模刻の対象になることが明らかにされてきたが、天台宗においても比叡山延暦寺根本中堂の薬師如来立像をはじめ、模刻の対象となった霊像が知られる。一般に、仏像の模刻は中世以降盛んになるが、天台宗勢力は早くからその重要性に注目していた可能性がある。そこで、史料上に知られる模刻の事例を収集・分析し、あわせて模像作品に対して実地調査を行ない、天台宗の模刻を通した新たな視点から、中世仏教形成の一端を探る。
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研究実績の概要 |
伝教大師最澄の自刻伝承をもつ、比叡山延暦寺根本中堂本尊の薬師如来立像は、現存しないものの、古来その名が広く知られ、模刻の対象となった。他にも、比叡山横川中堂本尊の聖観音菩薩立像や、園城寺の黄不動尊像など、天台宗では信仰を集めた霊像を模刻することが多い。本研究は、史料上に知られる模刻の事例を収集・分析し、あわせて模像作品に対して調査を実施することで、天台宗の模刻を通した新たな視点から、中世仏教形成の一端を探るものである。 2023年度は、勤務先で寄託を受ける浅草寺の仏像についてX線CTデータを分析し、報告書の刊行準備を進めた。また、比叡山延暦寺根本中堂本尊について、滋賀県のイベント((仮称)新・琵琶湖文化館に関する県民フォーラムⅢ)で対談を行なった。なお、関連研究として、薬師如来に付属する十二神将像のCT報告をパネル発表で行なった(鳥越俊行, 西木政統, 宮田将寛, 小池富雄, 長谷川祥子, 降幡順子, 池田素子, 浅見龍介, 淺湫毅「京都・浄瑠璃寺に伝来した十二神将立像に対する CT 調査と修理」、文化財保存修復学会第45 回大会、2023年6月24日)。また、東京国立博物館所蔵の法隆寺献納宝物に含まれる伎楽面等のX線CT撮影報告書を刊行した(東京国立博物館編『法隆寺献納宝物特別調査概報 43 伎楽面X線断層(CT)調査』東京国立博物館、2024年3月29日)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度完了予定だったが、本務の多忙と育児により報告書のとりまとめができなかった。また、特別展「最澄と天台宗のすべて」出品作品のX線CTデータ検証も終わっておらず、報告書の刊行は来年度に延期し、1年延長して対応することとしたい。また、浅草寺寄託品のX線CT報告書も投稿誌の査読が終わらず刊行の目途が立っていない。
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今後の研究の推進方策 |
特別展「最澄と天台宗のすべて」出品作品のX線CTデータ検証を進め、報告書を刊行したい。ここには、最澄自刻と伝えられる比叡山延暦寺根本中堂本尊の模刻とされる京都・法界寺の薬師如来立像や、円仁ゆかりの阿弥陀如来を模刻したとされる京都・真如堂の阿弥陀如来立像、江戸時代に数多く模刻が造られた輪王寺の慈眼大師天海坐像といった重要作例が含まれ、その基礎的データの公開を目指す。
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