研究課題/領域番号 |
20K12899
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木原 圭翔 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (30755731)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 古典的ハリウッド映画 / スタンリー・カヴェル / パーカー・タイラー / アルフレッド・ヒッチコック / 映画理論 / 映画批評 / 映画産業 / スタジオ・システム / 作家主義 / 経済 / ワーナー・ブラザーズ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、営利企業としての映画会社に関する経済学的アプローチと、具体的な作品分析によって映画の芸術的価値を探究する美学的アプローチという、これまでほとんど交わることなく個別に発展してきた二つの研究分野を「エコノミー(経済、効率性)」の観点から俯瞰的に捉えることで、「古典的ハリウッド映画(classical Hollywood cinema)」の実態の一端を明らかにしていくことである。さらに、こうした考察を通して、従来の映画研究が時に蔑ろしてきた映画製作の経済的側面の重要性をあらためて喚起し、「産業としての映画」と「芸術としての映画」を統合的に捉える新たな映画作品研究の視座を提起する。
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研究成果の概要 |
本研究は、「古典的ハリウッド映画」の物語様式を、「エコノミー(economy)」の観点から調査・分析することを目的としたものである。ここで言う「エコノミー」とは、利益を得るために映画を製作する映画会社の「経済」活動を意味すると同時に、映画作品に見られる「物語叙述、語り」の「効率性」の両方の意味を指している。新型コロナウィルスの影響に伴い海外渡航が制限されたため、研究方法や対象の変更そして遅延を余儀なくされたが、種々の言説(スタンリー・カヴェル、パーカー・タイラー、アルフレッド・ヒッチコック)を調査することで、古典的ハリウッド映画のエコノミーに対する多様な解釈の実態を把握することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「古典的ハリウッド映画」は、現在においてもなお、物語の「効率性」が重要な特性であり美徳の一つとして考えられている。しかし、本研究を通して明らかになってきたのは、物語における効率性の達成と、製作予算といった経済的な意味での効率性が必ずしも一致しない、両者の複雑な関係性である。とりわけ、観客側の視点から古典的ハリウッド映画を理解するならば、そこには語りの効率性(それに伴う「わかりやすさ」)を逸脱する様々な要因を見いだすことが可能となる。こうした理解は、古典的ハリウッド映画という映画群を一つの固定された様式としてみなす視点を相対化するうえで、重要な貢献を果たしたと考えている。
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