研究課題/領域番号 |
20K12901
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
方丈 響子 中村学園大学, 教育学部, 助手 (80846345)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | タールベルク / リスト / 独自性 / 創造性 / ピアノ変奏曲 / タールベルクのハープ / 三本腕 / モーゼ幻想曲 / ヴィルトオーゾピアニスト / ヴィルトゥオーゾピアニスト / ピアノ |
研究開始時の研究の概要 |
スイス出身の作曲家ジギスモント・タールベルク(1812-1871)は、当時最高のピアノ奏者として名高く、後世の音楽にも多大なる影響を及ぼした人物である。しかし現代では、彼の作曲家としての知名度は低く、同時代に活躍したショパンやリストの影に埋もれているといえよう。その原因とは何か。本研究では、衰退したタールベルク作品の原因について調査し、タールベルク独自の作風や手法の特徴として挙げられる様々な要素を探ることで、彼の作品の内部にある魅力や特性を明らかにすることを研究目的とする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に引き続き、現在出版されている楽譜や実際に存在する楽譜の実態把握を行うため、国立国会図書館や東京藝術大学附属図書館、東京文化会館音楽資料室にて楽譜や音源の収集・調査を行った。 また、同じ時代にヴィルトオーゾ・ピアニストとして活躍したジギスモント・タールベルク(1812-71)と F.リスト(1811-86)によるオペラ『リゴレット』のパラフレーズに焦点をあて、タールベルクの作品が現代で広く知られていない理由を追求することを目的として研究を進めた。オペラ原曲との比較や楽曲の分析をとおしてそれぞれの編曲技法の特徴を探った結果、リストは『リゴレット』第3幕の四重唱に、自由で即興的なパッセージを加えながら、リゴレットのパートを除く3声を駆使し、曲全体を華やかに彩っていることがわかった。まさに“パラフレーズ”を連想させる作品であり、アルペッジョなどの煌びやかで即興的な装飾は、ヴィルトオーゾ時代とよばれる1839~47年の8年間で行った約 1000 回におよぶリストの公開演奏会において、各地で好評を得て生み出されたものと推察する。一方、タールベルクは原曲の広範囲を扱っているのが特徴の1つであり、原曲に非常に忠実に構成していることから、彼らの編曲の方向性には違いがあることが明らかとなった。 さらに、1863年に演奏活動に終止符を打ったタールベルクに対し、リストは1880年代まで長期間にわたって活動を続けていることがわかっている。リストの演奏活動期間やタールベルクの作品における独自性や創造性の希薄さが現代の知名度に起因していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた現地調査や演奏会準備等、計画どおり実施できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
タールベルクの特性を追及するとともに、自身の演奏でタールベルクの作品の魅力を伝えるための演奏会の準備を進める。
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