研究課題/領域番号 |
20K12903
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 玉川大学 (2021-2022) お茶の水女子大学 (2020) |
研究代表者 |
横山 美和 玉川大学, 学術研究所, 研究員 (70725267)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 避妊 / 荻野式避妊法 / ジェンダー / リズム法 / 産児制限 / 産児調節 / 科学史 / 医学史 / オギノ式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、避妊具や避妊情報の郵送を禁じたコムストック法と産児調節運動、および荻野式避妊法の関わりを明らかにするものである。コムストック法は産児調節運動の妨げとなっており、M.サンガー率いる米国産児調節同盟等の運動体はその改正を主要な目標としていた。しかし国の動きに変化が現れたのは、1932年に荻野式避妊法がカトリック医師によって米国に導入されてからであった。本研究では、米国産児調節同盟のほか任意家族形成同盟等の法改正活動に関する史料、郵政省の荻野式避妊法関連史料を調査し、郵便と、荻野学説という科学的発見の視点を加えながら、20世紀前半の米国における産児調節運動史の再構築を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、避妊具および避妊情報の売買や郵送・輸入を禁じた米国の連邦法である「コムストック法」と、産児調節運動ならびに荻野式避妊法の関わりを明らかにし、20世紀前半の米国における産児調節運動史を再検討することにある。荻野式避妊法は1932年にカトリック教徒の医師により米国に紹介されると、「リズム法」として普及し多くの支持者を得た。報告者は、リズム法に関する文書やカレンダーなどの道具は自由に郵送が許可されていたことが異例であり、そのことを産児調節運動家らが驚きをもって受け止めていたことや、それぞれ異なる立場から利用していったことををこれまで明らかにしている。 3年目である令和4年度は、ハーヴァード大学図書館デジタルアーカイブで公開されている、米国の産児調節運動にとって区切りとなる重要な裁判「合衆国対一箱の日本のペッサリー裁判」(1936年判決)に関する資料に着目し、どのような経緯で歴史的な判決は出されたのかということについて調査した。同裁判は日本から輸入された避妊具が税関で没収されたことに対し、産児調節運動家マーガレット・サンガー陣営の医師で、受取人だったハンナ・ストーンが没収の取り消しを求めて裁判で国と争ったものである。ストーンは1審、2審とも国に勝訴し、避妊具を医師宛に輸入・郵送することは違法とはならず、コムストック法全体にわたって解釈を見直すべきという判決を引き出し、このことはサンガー陣営にとって歴史的勝利となった。同裁判の資料は、ストーンの弁護を担当したモリス・アーンストが残した資料であり、ストーン側の主張や根拠とした判例について精査しまとめることができた。また裁判の中でのリズム法についての言及も調査することができ、米国の産児調節運動の中での荻野式避妊法の位置付けについてさらに考察を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大のために米国に渡航することができなかったが、上記の裁判資料データを入手することができたため、効率よく研究することができた。資料を分析した成果を日本女性学学会で口頭発表したほか、玉川大学人文科学研究センターの紀要に論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、新型コロナウイルス感染状況を注視しながら、可能であれば渡米して米国議会図書館で郵政省内でのリズム法やコムストック法に関する運用の実態や解釈などについて調査を行いたい。
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