• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

日本漢文学と朝鮮漢文学の交渉に関する研究―古文辞学派を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 20K12912
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分02010:日本文学関連
研究機関東京大学

研究代表者

李 暁源  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任准教授 (90827875)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2021-03-31
研究課題ステータス 中途終了 (2020年度)
配分額 *注記
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード朝鮮通信使 / 荻生徂徠 / 古文辞 / 問槎畸賞 / 水足氏父子詩巻序 / 徂徠学派 / 航海唱酬 / 縞紵集 / 韓国漢文学 / 日本漢文学
研究開始時の研究の概要

本研究では日本の古文辞論形成に対する朝鮮漢文学の影響を探り、それに伴う朝鮮観の形成と分化及び継承を朝鮮通信使との交流を中心に通時的に探る。古文辞学派は形成段階から朝鮮通信使の存在を積極的に利用し、朝鮮漢文学や朝鮮歴史などに対する批評を遺した。その中で生み出された古文辞学派の朝鮮観は近代に至るまで、日本知識人の朝鮮観の形成にも一定の影響をもたらした。さらに古文辞学の先進性に対し朝鮮朱子学の後進性や停滞性を強調する視点を作り出し、現在にもなお東アジア交流研究に影を落としている。これらを意識しながら古文辞学派の朝鮮漢文学に対する批評や朝鮮観の特徴をつかみながら特に文章論、漢詩論、歴史観に焦点を絞る。

研究実績の概要

徂徠は『問槎畸賞』で古文辞論に基づいて通信使の詩を激しく批判した。理論的根拠を持って通信使の文学を批判するのは徂徠が初めてであった。しかし朝鮮で古文辞論が流行したのは17世紀であり、18世紀には既に衰退し唐詩を中心にいろんな詩風を学習するのが一般的な状況であった。このような朝鮮の状況を徂徠は知らなかった。徂徠が『問槎畸賞』で誇張した語調の手紙と評語、序文、跋文などを収録し通信使を激しくけなしたのは徂徠学派の優越性を日本の文壇に知らせるための意図であったと考えられる 。徂徠学は当時朱子学派および唐宋古文を主張する文士たちの反発を買わざるを得なかったのだが、このような状況を打開し短期間で自派の名声を高めるためには日本の文壇で権威をもっていた通信使を批判するのが効果的だと徂徠は判断していたものと考えられる。このような文学における通信使に対する優越意識を「文明的優越意識」と言える。
一方「麗奴戯馬歌」で徂徠は馬上才を逃亡するのに使う下賤な技芸だとけなしている。さらに「贈朝鮮使序」、「徠翁答江生書」などでは武力を用いて朝鮮を蹂躙したことを自慢げに語っている。 文明ではなく武威で朝鮮を屈服させて以来、朝鮮が朝貢をしているという、事実とはかけ離れた自己中心的で排他的な認識を徂徠は持っていたものとみられる。当時多数の儒学者は古代から日本が韓半島を武力で服属させたと信じていたが徂徠も例外ではなかった。このような認識を「武威による優越意識」だということができる。
「水足氏父子詩巻序」により「武威による優越意識」は「文明的優越意識」と正反対の地点にありながらも内的には連結していることが分かる。儒学と漢文のような中華文明を成就させているという点で朝鮮は尊崇の対象であった。しかし徂徠の登場で文明の持ち主としての朝鮮の権威が傷つき、「武威」に加え「文明」においても優越意識が生じたと見なすことができる。

報告書

(1件)
  • 2020 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 華夷と礼楽2021

    • 著者名/発表者名
      李暁源
    • 雑誌名

      韓国朝鮮文化研究

      巻: 20 ページ: 69-85

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
  • [雑誌論文] 通信使朝貢使論の虚構性に対する歴史的考察(韓国語)2020

    • 著者名/発表者名
      李暁源
    • 雑誌名

      歴史と現実(韓国)

      巻: 116 ページ: 389-420

    • 関連する報告書
      2020 実績報告書
    • 査読あり

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi