研究課題/領域番号 |
20K12923
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
本橋 裕美 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (70803724)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 斎王忌詞 / 源氏物語 / 日本古典文学 / ジェンダー / 女性論 / 斎宮 / 忌詞 / 斎王 / 物語文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、『延喜式』巻五(斎宮)巻六(斎院司)に規定される斎宮、斎院の忌詞について、文学的 観点から分析することを目的とする。 斎宮、斎院の忌詞(ここでは斎王忌詞と総称する)については、もともと文学的な分析がほとんど行 われていない。また、歴史学においても、近年、忌詞研究は停滞している。本研究は、申請者が斎 宮に関してこれまで蓄積してきた文学的研究成果を生かし、斎宮と斎院およびその周辺の女性たち の忌詞に対する意識を明らかにする。規定の内実を分析してきたこれまでの研究では重視されてこ なかった、規制される斎王たちの意識をとおして、忌詞の運用と当事者たちの意識を明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、新型コロナウィルス感染症流行の影響により停滞していた国外での研究発信・調査を大きく進めることができた。特に、10月にヴェネツィア・カフォスカリ大学(イタリア)でのシンポジウムの実現は本研究課題にとって非常に有益であった。コロナ禍で国外に出られないあいだに、連携予定であった国外研究者の状況が変わるなど研究課題遂行にあたって大きな影響があった。そうした中で、対面で、日本・中央アジア・ヨーロッパ・アメリカの研究者が連携しての国際シンポジウムを開催し、実りある議論ができたことは大きな成果である。シンポジウムとしての成功だけでなく、個人の研究成果として日本古典文学とジェンダーの結びつきを示せたことも重要であった。また、11月には大英図書館(イギリス・ロンドン)等で翻案研究に関する資料収集を行うことができ、こちらもコロナ禍によって研究の中断を余儀なくされていたEAJS等の国際会議での発表に向けてパネルグループでの議論を進めている。 個人の研究としては、斎王忌詞の基礎調査を終えることができた。成果の執筆にはまだ時間がかかるが、今後まとめていくことを計画している。また、カフォスカリ大学でのシンポジウムにおける口頭発表のほか、説話文学会12月例会(神戸大学)での口頭発表を行った。さらに4本の論文を執筆し、これらは特に日本古典文学とジェンダー研究の可能性に関わるものである。文学、歴史学双方に亘る研究方法を踏襲しつつ、本研究課題に関わる女性論として展開させたもので、これらも重要な成果といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症拡大による遅れは十分に解消されていないが、連携する国外の研究者の状況の変化もあり、形式や手段を変更するかたちで進展させており、本研究課題の目標達成に向けて大きく進むことができた。特に、国外学会で実現を目指してきたシンポジウムを、ヨーロッパ(イタリア・ヴェネツィア)で開催できたことは本研究課題にとって重要な進展である。国外の研究者、特に中央アジアの研究者との連携もヴェネツィアのシンポジウムで実現できた。研究期間を延長しており、2024年度に遅れている中国(四川省)の研究者との連携による調査等を実施できれば、本研究課題の目指す国際連携についてはおおむね遂行したと言える。 また、斎王忌詞の研究については、基礎的な研究を目指しているため、収集した資料の分析を続けているところである。資料の収集についてはおおむね終了しているが、現象の指摘だけでない分析を行ったうえで、先行研究との比較を経て報告していくことを検討しているため、もうしばらく時間がかかる予定である。 日本古典文学とジェンダーについては、口頭発表、論文発表を重ねており、当初予定していた以上の進展がある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度で終了する予定であったが、コロナ禍による研究の停滞のため、2024年度も本研究課題を延長して対応している。国外での調査、発信については、懸案である中国への渡航を2024年度中に計画しており、連携する研究者ともメールでの打ち合わせを続けているので、実現は可能である。 日本古典文学とジェンダー、女性論については、すでに論文発表の予定があり、計画を進めている。斎王忌詞についても、所属大学の紀要等をとおしての論文発表を計画している。 新型コロナウィルス感染症拡大の影響による研究の遅延、予定変更を完全に解消することはすでに難しい状況だが、形式、方法を変えての研究遂行を目指しており、実現は可能と考えている。形式、方法を変えた場合、研究課題としては更に大きなものとなるので、本研究課題をまとめつつ、展開させるための次の研究課題への応募も見据えて研究を進めていきたい。
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