研究課題/領域番号 |
20K12926
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
那波 陽香 (森陽香) 目白大学, 外国語学部, 准教授 (00845175)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 上代文学 / 万葉集 / 神 / 霊魂 / 他界観 / 信仰 / 神観念 / 神話 / 民俗 / 山部赤人 / 芸能 / 古事記 / 風土記 / 霊魂信仰 / 民俗学 |
研究開始時の研究の概要 |
日本古代(主に奈良およびそれ以前~平安前期頃を広く指すこととする)における信仰の核としてムスヒ神あるいはムスビ神と呼ばれる神に注目し、この神が何故広くそして深く信仰されたのかを解き明かすために、この神にかかわる霊魂信仰の体系的な理解(例えば「神」と「魂」との関わりや違いなど)およびその具体相(例えば霊魂の形状など)について、主に文学的・民俗学的な見地から明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は、上代文学会例会での研究発表(口頭発表)と、その時に発表した内容をもとにした論文の成稿とを、達成することができた。その内容は、まず「神」というものがどのような存在として古代の日本人にとってあったか、という、根本的な点について、万葉歌を精査した。ついで、そこであきらかになった古代日本人の神観念を象徴する用語として「神代」という言葉を選び、その「神代」という言葉が『万葉集』のなかでどのように使用方法が変化していたかを突き止めた。「神代」は、『古事記』『日本書紀』では常に歴史の始原に位置し、特に『古事記』はその「神代」の中心を担うムスビ神に対して大きな役割を担わせているが、朝廷の神話以外の部分では、その「神代」に対する意識が特に奈良時代以降急速に変化したことが明らかになった。 研究代表者のこれまでの研究は、『万葉集』から特徴的な歌を選びその歌を通して古代の人々の霊魂観念を明らかにするという、単発的なものが多かった。あるいは、『万葉集』を総括的に扱いつつも、芸能という観点から古代の人々にとっての霊魂信仰や文学の持つ意義について考察する、というような内容のものもあった。それらの成果に対し、今年度に発表した内容は、『万葉集』全体を改めて見直して、歌という文学そのものの中で(つまり歌の内容において)神観念がどのように変化していったか、そしてまた同時に、そのような変化の中にありながらも古代の人々の神や霊魂に対する信仰の中核を担っていた普遍的な考え方はどのようなものであったか、といったことを明らかにしたものであり、神や霊魂に対する古代日本人の考え方という課題に対して真正面から向き合った論である点で、活動最終年度の成果として相応しいものと考えている。
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