研究課題/領域番号 |
20K12929
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
|
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
シュウェマー パトリック 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (30802946)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 大航海時代 / 日本史 / 地中海 / イスラームとキリスト教 / 東西文化接触 / 書誌学 / 托鉢修道会 / 一次資料 / フィリピン / インド / メキシコ / キリシタン / ピカレスク / 元禄文学 / イエズス会 / スペイン黄金世紀 / コロンブス交換 / 薬物貿易 / 騎士物語 / 資料 / 目録 / 安土桃山 / 織豊時代 / 托鉢会 / 近世 / 文献学 / 江戸初期 |
研究開始時の研究の概要 |
日本史資料の大きな未開拓領域イエズス会日本報告は1549年から1625年頃までほぼ毎週書かれ、宗教だけでなく、政治、経済、社会、文化に関して貴重な情報源である。にもかかわらず、先行研究は日本で書かれた一次資料ではなく、大方欧州側で精選、編集、省略、改竄された当時の版本『報告集』に依拠しており、全体の約12%しか和訳されていない。本研究では定例研究会をひらき、諸本の総合目録、原写本の翻刻、校訂、英訳、和訳、それらに対する研究を出版し、本資料群の記録性と文学性を「近世化」における情報作戦という観点から捉え直す。その成果を毎年国際大会で発表し、最終年度には所属大学で国際ワークショップをひらく。
|
研究実績の概要 |
本年度も大航海時代日本報告総合目録の作成を進めた。関連資料を調査するために大分県臼杵市の多福寺を訪問し、宗門改役の周辺で作成されたと思われる排耶文学を調査・撮影した。プロジェクト協力者を一人増やし、その学者が集めてきた数多くの目録データを共有していただいた。その結果、目録の守備領域がさらに拡大化される見込みである。協力者と面会し、目録データの今後の使い方について話し合い、目録の出版に向けて準備を進めてきた。代表者は本プロジェクトの資料群を題材に、招聘講演を二件国内の大学で行ない、有意義な情報交換を行なった。なお、国際大会にて招聘パネル司会者を務め、これを機に本プロジェクトの題材となる日本中世を人類学の広い視野の中で位置付けてみるなど、新しい試みを行なった。本プロジェクトで集めた資料を用い、学術機関誌に小論文を載せた。さらに、英字の国際学術雑誌には、編集者の招待で最近出版された崩字変体漢文の英字資料集に対する書評を公表した。古文書の扱い方と一般人・外国人への紹介の仕方について深く考えさせられ、本目録プロジェクトの参考にもなった。科研費ではヨーロッパなど世界各地から貴重な二次資料を購入した。このようにして大航海時代の温床となったイスラムとキリスト教の闘争する地中海、日本とは不可欠な比例となる米大陸の先住民社会などへの自分の理解を躍進させた。これに基づき、説話文学会の機関誌のために論文を執筆し、そのおかげで英字単著の構想がさらに発展した。スペイン黄金世紀文学とそのイスラム文明との対話を大きく視野に入れて日本のキリシタン史を考え直すことによって分野に新展開をもたらすことができるのではないかと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生成AIによる古文書の解読がもう少し進むと、翻刻・校訂・翻訳はもちろん、このような目録作成自体が自動化されるかもしれない。すると、資料集を執筆するというよりも、今の瞬間では分野の最先端を代表する「最後の目録」を紙媒体で出版する意義が大きいように考えられる。したがって、本プロジェクトではそのようなものを出版できる形に仕上げることができれば大変結構に考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度では、大航海時代日本報告総合目録を出版に向けて準備を進める。新しく加わったプロジェクト協力者の収集したデータを併合し、フォーマットを統合すれば、日本史、キリシタン史、スペイン・ポルトガル史など、多くの研究者の役にたつ参考図書になるように考えられる。
|