研究課題/領域番号 |
20K12932
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
|
研究機関 | 和洋女子大学 (2021-2022) 皇學館大学 (2020) |
研究代表者 |
小堀 洋平 和洋女子大学, 人文学部, 准教授 (30706643)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 田山花袋 / 平面描写 / 太田玉茗 / 三木露風 / 大西祝 / 桂園派 / 象徴主義 / 詩論 / 窪田空穂 / 香川景樹 / ハルトマン / 新傾向俳句 / 夏目漱石 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、20世紀初頭の自然主義文学の代表的作家田山花袋が提唱した「平面描写」論を出発点に、同時代の文学者たちによって主張された文学理論の相互関係を、多様なジャンル・流派をまたぐかたちで明らかにしようとするものである。たとえば、花袋の自然主義小説論である「平面描写」論を、短歌ジャンルにおける桂園派の歌論、俳句ジャンルにおける「新傾向」の評論、反自然主義の流派に分類される夏目漱石の文学論などと比較する。本研究をとおして、明治文学から大正文学への転換期という重要な時期に、さまざまな個性と立場をもった文学者たちが、それぞれどのような文学理論を主張し、論争しあったかが解明されることになるだろう。
|
研究成果の概要 |
本研究では、日本自然主義の代表的作家である田山花袋の「平面描写」論を出発点として、同時代の文学者たちによって提唱された多様な文学理論の言説配置を、ジャンルおよび流派横断的に明らかにした。具体的には、主に次のような知見が得られた。1)太田玉茗をはじめとする初期花袋周辺の詩人たちは、近世以来の桂園派の歌論を再解釈することで自らの文学観を形成した。2)花袋と同時代作家たちの文学論の形成にとって、哲学者大西祝の言説が重要な役割を果たした。3)花袋の「平面描写」期の作品が、ジャンル・流派の別を越えて大きな反響を呼び、文学作品における内容と形式の関係が再考されるきっかけとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来、文学理論の研究はジャンル・流派別に行われることが多かったが、本研究では、花袋の平面描写論を出発点として、相異なる流派・ジャンルに属する理論言説を相互に比較し、同時代の言説空間のなかに位置づけることができた。とりわけ、桂園歌論を媒介に近世から近代への文学理論の発展の一端を明らかにできたこと、大西祝を中心に明治・大正期における哲学と文学の交流の一端を明らかにできたことに、本研究の学術的意義があると思われる。社会的には、近代日本の文学理論の歴史的解明をとおして、今日における文学の意義を再考する契機を広く一般市民に提供できた点が成果として挙げられる。
|