研究課題/領域番号 |
20K12933
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
東野 陸 (李増先) 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (90755498)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 和刻本漢籍 / 在外日本古典籍 / ケンブリッジ大学図書館 / ロックハート / デジタルアーカイブ / 東アジア / 漢字文化圏内 / 漢籍の享受 / 漢字文化圏 / ケンブリッジ / データベース / メタデータ(TEI) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は幕末明治期の東アジアにおける和刻本漢籍の流通実態の解明を目的とする。ケンブリッジ大学図書館蔵のロックハートコレクションを研究対象とし、その由来を明らかにする。ジェイムズ・スチュワード=ロックハート卿(Sir James Haldane Stewart Lockhart, 1858-1937)はスコットランド出身の外交官、生涯の半分を中国大陸で過ごした人物であった。彼の没後にその旧蔵書はケンブリッジ大学に買収され、そこに和刻本漢籍が含まれていることは注目に値する。本研究が目指すのはその和刻本漢籍の由来と旧時の東アジアにおける和刻本漢籍の流通実態の解明である。
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研究実績の概要 |
本研究はジェームズ・スチュワード=ロックハート卿(1858-1937、ロックハート)の旧蔵書を対象とする。ロックハートは1880年頃から約40年間、中国に外交官として滞在し、その間様々な資料を蒐集し、絵画・写真・書簡等の資料に交え、約1200タイトルの旧蔵書を残し、それの多くはケンブリッジ大学図書館に収蔵されている。それから、筆者はスコットランド国立図書館(National Library of Scotland、NLS)にロックハートが残した自筆の旧蔵書目録を発見し、それをもとに、研究対象を特定し、デジタルアーカイブを作成した。ロックハートの没後にイギリス国内では東洋研究のブームが興り、旧蔵書は解体され、本研究対象はケンブリッジ大学図書館に買収された経緯がある。 ロックハートの旧蔵書には「漢籍」は勿論、「和刻本漢籍(和刻本)」「準漢籍」も含まれていることがこれまでの研究で明らかにした。「漢籍」とは漢字・漢文によって記された書物、日本は早くからそれを輸入し、辛亥革命までに中国で刊行されたほとんどの漢籍を日本が複製し、使用した。このように、日本で覆刻・翻刻された「漢籍」は「和刻本」と呼ばれる。中国以外の国や地域で出版された漢文の書物は日本で 「準漢籍」と呼ばれる。朝鮮半島やベトナムで出版されたものがこれに該当する。これまでの研究は「和刻本」のみに焦点を当てたが、過年度の研究は「準漢籍」の需要も多かった事を判明した。 そして、これまでの研究はロックハード自筆目録のデータベース化を人工知能による手書き文字認識(Handwritten Text Recognition、HTR)の技術を用い、データ化を試みたが、複数のツールやプログラムを実験した結果、技術そのものがまだ実用段階ではないことだと判明し、それから昨年度は研究者自身の手作業により文字を起こし、データ化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の世界的流行が徐々に収まり、日本から海外への渡航も少し制限が緩和されつつあるが、昨年度は主に筆者が作成したデジタルアーカイブやすでに入手した資料を用いて研究を進めてきた。海外の文献調査やフィールドワークは実施出来ておらず、研究全般がやや遅れている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は海外への渡航制限が全面的に解除されると見込まれるうえ、本課題の直接経費の使用も一年間の延長が承認されたため、次年度に海外の文献調査やフィールドワークを集中的に行う。 それから、旧蔵書目録の文字起こしを完成し、ロックハート旧蔵書の情報を検索・比較できるようにデータベースを構築する。
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