研究課題/領域番号 |
20K12938
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
瓦井 裕子 就実大学, 人文科学部, 准教授 (20823967)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 源氏物語 / 享受 / 和歌 / 享受史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、『源氏物語』成立直後の享受実態を和歌を通して明らかにし、鎌倉初期に至る『源氏物語』享受史を再構築することを目的とする。本研究では、『源氏物語』を摂取する平安期和歌を新たな享受資料として位置付けることにより、平安期の『源氏物語』享受実態を明らかにし、中世の『源氏物語』享受といかに繋がっていくのかという通史的研究の基盤となる視座を提供する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、『源氏物語』の和歌解釈に注目し、各写本の本文およびそれらの本文と『源氏物語』享受との関連を研究した。具体的には、以下の2点である。
1.『源氏物語』須磨巻の和歌「うしとのみ…」について、現在とは異なる解釈がかつて行われていたことを指摘し、その和歌を享受する和歌や散文作品への理解の見直しも含めた提言を行った。この和歌は『源氏物語』中でもかなり早くから注目され、和歌や散文作品などで享受されてきた。本研究では、現在当該歌を濁音で解釈している箇所について、室町期の古注釈書には清音での解釈する説が記載されていることを述べ、清音での解釈を試みた。その上で、平安・鎌倉期における当該歌の享受作品の一定数が、清音での解釈を前提としている可能性を指摘し、現行の解釈をもって過去の享受作品を議論することの危うさを述べた。清音で解釈された可能性を視野に入れることにより、享受作品の理解などにも見直しを迫った。 2.現在刊行されている『源氏物語』が拠る定家本系統の大島本は、従来考えられていた素性と大きく異なることが近年明らかにされた。しかしながら、依然として大島本以外の本文はほとんど顧みられず、無数の本文が埋もれている状況にある。その状況を改善すべく2021年度から行っている陽明文庫蔵源氏物語について、調査・本文校訂・現代語訳を進めた。調査により、陽明文庫蔵源氏物語の書き入れや訂正などの状況が明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の成果として、研究発表1本を行った。年度内に発表した成果としては少ないものの、研究成果は次年度以降順次刊行される予定である。 以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、引き続き『源氏物語』の各本文と享受との関係を明らかにしていく。特に、河内本系統や別本に目を配り、定家本系統のみによる研究では見落とされてきた様々な事象について、享受という観点から研究を行う。 また、陽明文庫蔵本の校訂・現代語訳・注釈も並行して進めていく。
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