研究課題/領域番号 |
20K12949
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松村 志乃 近畿大学, 国際学部, 准教授 (40812756)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 中国語圏文学 / 華文文学 / 馬華文学 / 王嘯平 / サイノフォン / 中国当代文学 / 王安憶 / 茹志鵑 / シンガポール・マレーシア華語学 / シンガポール・マラヤ華人文学 / 中国現代文学 / 中国文学 / シンガポール / マレーシア |
研究開始時の研究の概要 |
1920、30年代、シンガポール(旧英領マラヤ)には、中国の「五四」文学の影響を受けた華人青年文学者と、中国から南下した文学者が集い、華文(中国語)での文学創作が活況を呈していた。今日では、これが「馬華文学(マレーシア華人文学、広義にはシンガポール華人文学を含む))」の黎明期とされている。本研究は、1920‐40年代のシンガポール(英領マラヤ)において、中国の「五四」文学に影響を受けた若手文学者たちがいかに創作活動を行ってきたかについて、当時の日本と中国の文学を視野に入れながら検討し、その文学と思想を総合的に考察するものである。
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研究成果の概要 |
本研究は20世紀初頭に旧英領マラヤに育った華人若手文学者たちの文学と思想を総合的に考察するものである。研究成果としては以下の3点が挙げられる。まず、英領マラヤで活躍した作家のひとりである王嘯平の文学の検討を通して、中国の「五四」文学に影響を受けたマラヤの青年作家の思想とその後の足跡を考察した。またコロナ禍で数年にわたり現地に訪問できずにいたが、最終年度には現地に渡航し、研究者と現在につながる交流を行い、貴重な資料を収集した。さらに本研究を通して、中国語圏文学という新しいプラットフォームにおける馬華文学の位置づけのみならず、中華人民共和国の文学の位置づけを再検討することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
20世紀半ば以降中国語圏はイデオロギーに二分され、文学研究もその影響を受けてきた。だが今日、国民国家の枠組みを超えた「中国語圏文学」の研究が世界的に行われている。中国という中心に対し、辺縁に置かれてきた華人文学の意義に目を向けることは、華人文学の再認識に有益であるのみならず、言論統制の厳しさを増す中国を含めた中国語圏文学研究、ひいては中華圏の文化、社会に対する認識をより豊かなものにする可能性をもっている。本研究は馬華文学の起源を20世紀初頭とし、現行の議論の中で馬華文学が生成される過程を検討した。まだ研究半ばではあるが、世界的な中国語圏の社会に関する研究の潮流に資するものとなったと考えられる。
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