研究課題/領域番号 |
20K12952
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
五十嵐 奈央 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (50868346)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 戦争詩 / エレジー / ルイ・マクニース / イギリス文学 / 戦争 / イギリス詩 / 第二次世界大戦 / 20世紀 / 英文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、20世紀イギリス詩を、伝統的な形式・ジャンルの使用という観点から考察する。芸術の社会的意義が問われるようになった20世紀のイギリス詩は、直接的・間接的に詩人自身の詩作そのものに対する態度や、共同体に属する個人としての立場を反映していると考えられる。先行する過去の詩人たちに用いられた形式・ジャンルは、それ自体が詩について「語って」いる。20世紀の詩人たちが、伝統という蓄積されたそれらの「声」を、どのように自身の声と交え、詩人としての自意識を表現しているのか、「ソネット」「牧歌詩」などのジャンルや、韻・イメージといった詩の構成要素に改めて注目し、詳細に分析することで、明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
2022年度は、これまでの研究を元にした発表・出版に加え、採択後に新しく研究を進めてきた領域に関する成果を残すことができた。 1)ルイ・マクニースの作品について、2021年度の国際学会シンポジウムでの発表を元にした査読付き論文1本の出版と、1930年代アイルランド文学の国際学会での発表を行った。論文では、詩人としての自意識の問題と、昨今の社会事情から文学研究でも注目されている「病気」のテーマからマクニース詩の新たな読みの可能性を提示しただけでなく、身体的病と精神的病、他者の病と自身の病の境界線が曖昧な作品の特徴を指摘した。精神的な病に注目が集まった20世紀初頭の他の詩人の作品における病の描写や「自己」の認識の分析の一助となることも期待できる。 学会発表では、マクニース作品のジャンル・形式について考える上で重要な散文作品の研究成果を発表した。これまでほとんど研究されてこなかった1930年代の小説や劇について、当時の思想的特徴とともに論じ、それらがマクニースの詩人像・詩論構築の場となっていることを明らかにした。 2)研究テーマである「20世紀」の詩作品として、第一・二次世界大戦詩に研究の幅を広げてきた。その成果として、所属する研究会の10周年記念誌に、現代読者にとっての戦争詩に関する、文学研究者・一般読者双方に向け、専門性を損なわない形で分かりやすく執筆した評論を寄稿した。社会と文学についての一考察としても読める内容で、文学そのものの価値の考察にも貢献する文章を執筆することができた。 また、これまで研究を進めてきた1ジャンルであるエレジーと、戦争詩の関係についても、国内学会シンポジウムのパネリストの一人として発表した。戦争詩人の戦間期の作品における戦争の繰り返しへの意識という問題からエレジーと戦争詩を関連づけ、戦争詩とエレジー研究両方に新しい視座を与えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで研究してきたルイ・マクニースの作品について、新たな査読付き論文を出版できたこと、採択後に進めてきた戦争詩・エレジーの研究成果を公式の国内学会で発表できたことは大きな進展であるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた研究テーマと関連したマクニース作品の研究には、マクニース戦争詩研究も含まれていた。それはこれまで学会発表で成果を発表してきたが、論文としてまとめ、採用・出版を目指す。 また詩形式・ジャンルの研究として、同時に戦争詩・エレジーの研究を始めて進めてきたため、それらも査読付き論文として採用・出版を目指す。
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