研究課題/領域番号 |
20K12958
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山根 亮一 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (90770032)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 文化冷戦 / アメリカ南部例外主義 / プリントカルチャー / 日本におけるアメリカ文学研究 / アメリカ小説・詩 / 恒久戦争 / 文化政治 / 核時代 / アメリカ南部文学 / アメリカ文学・詩 / ジェンダー論 / 批評理論 / 核兵器 / エドガー・アラン・ポー / イサム・ノグチ / 野口米次郎 / 共同体理論 / The U. S. Print Culture / Cold War (Perpetual War) / William Faulkner / Lionel Trilling / Nuclear Age / Richard Wright / Eudora Welty / The U.S. Print Culture / Cold War / southern studies / Hill Billy / F. Scott Fitzgerald / ウィリアム・フォークナー / 日本の文化冷戦 |
研究開始時の研究の概要 |
本発表は、中央情報局(CIA)を後ろ盾にしたThe Congress for Cultural Freedomによる出版物に焦点をあて、それらのなかで、いかにアメリカ南部例外主義が冷戦期の二項対立的イデオロギー闘争(全体主義と民主主義)と連動していたかを明らかにする。そのために、作家William Faulkner、歴史家Arthur M. Schlesinger Jr.らアメリカ人だけでなく、日本人をも含む多種多様な書き手たちの出版物上のネットワークが含意する冷戦期の文化や政治性――本研究が「広く長い冷戦」と呼ぶ広範かつ長期的な視野における文化冷戦の在り様を議論する。
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研究成果の概要 |
「広く長い冷戦――プリントカルチャーが繋ぐ文化冷戦とアメリカ南部例外主義」というタイトルのもとで研究を進め、いくつかの成果を得ることができた。たとえば、ある論文では、冷戦戦士の代表格である歴史家アーサー・M・シュレシンジャー・Jr.の文学的着想が、いかに大統領への理想のために再解釈されていたかを照射した。また、他の論文では、野口米次郎とその息子であるイサム・ノグチに焦点をあて、日米それぞれの視点における国家観を恒久戦争と平和概念と共に表出させた。そして、南部作家フォークナーを日本人アメリカ文学研究者の視点を織り交ぜ、日米の反全体主義コンセンサスと、そこからの逸脱を試みる文学的着想を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究成果の学術的意義としては、これまでに語られることのなかった芸術家たちや学者たちの組み合わせから、アメリカ文化冷戦を批判的に、より新しい視点において語ることができたという点である。これまでいかにCIAやフォード財団等の組織がアメリカ文化を宣伝するために活動してきたかの議論はあったが、逆にそうした宣伝活動から文学的着想がいかに逸脱しようとしていたかを捉えるものはほとんどなかった。今回の研究は、歴史研究と文学批評を架橋し、それぞれに互恵的な視点から冷戦期アメリカ文学を学ぶ意義を再定義することを試みたものである。その社会的意義は、体系化されたアメリカ文学研究そのものの政治性を相対化した点にある。
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