研究課題/領域番号 |
20K12966
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 東京都立大学 (2021-2023) 大東文化大学 (2020) |
研究代表者 |
生駒 久美 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (00715063)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 貧乏白人 / 黒人逃亡奴隷 / 南部貴族 / 南北戦争 / トランスベラム / 言語 / 抵抗 / 19世紀アメリカ文学 / 黒人(奴隷) / 境界線 / 階層 / 黒人 / 関係性 / 奴隷制 / 南部再建 / 黒人奴隷 / 不平等 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、南北戦争以前と以後のアメリカ文学における貧乏白人と黒人の表象の変遷を辿る。本研究で取り上げる作家たちは、人種問題を扱う際に黒人だけでなく、貧乏白人の登場人物を必ず取り上げているのは見過ごせない。作家たちが貧乏白人と黒人(奴隷)の関係に対する関心をいかに拡大深化させていったのか、その変遷を辿り、社会的不平等や差別に対する各作家の問題意識を検討する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、アメリカ学会第57回年次大会のワークショップ"Transnational Contact and Human Mobility"において、"Mark Twain in the Pacific:Figures of 'Half-Breed' in His Writings"というタイトルで発表をした。『ハワイ通信』に登場する通訳者ビル・ラグズデイルと『トム・ソーヤーの冒険』におけるインジャン・ジョーに焦点を当て、ハワイへの膨張政策と国内の西部開拓との間にある連続性を示し、帝国主義と人種問題の関連について考察を深めた。
またKeiko Noguchi著, Harriet Beecher Stowe and Antislavery Literature: Another American Renaissance (彩流社、2022年)の新書を紹介した。本の紹介を通じて、ハリエット・ビーチャー・ストウの作品を中心に人種と階級の接点を考える手がかりを得た。9月にはQuarry Farm Fellowshipsに選出され、約2週間、トウェインに縁のある屋敷やElmira Collegeで黒人(人種問題)および貧乏白人に関するトウェインの応答について研究調査を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マーク・トウェインに関しては、Quarry Farmに滞在する機会を得た結果、トウェインが数々の傑作を生み出したエルマイラという地で、トウェインとフレデリック・ダグラスとの関係性について考察を深めることができた。しかし、トウェイン研究に時間を割いた結果、チャールズ・チェスナット研究まで進めることができなかった。チャールズ・チェスナットはトウェインと知己であり、どちらも白人による社会改革を主題にした作品を執筆している。(前者は『大佐の夢』、後者は『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』)。ただしその内容は大きく異なる。南北戦争後の社会改革を考察する上で、チェスナットの資料がエルマイラ・カレッジには少なく、チェスナット研究が少々遅れることになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Quarry Farm Fellowshipでの研究成果を論文化することを目指す。具体的にはトウェイン作品における人種と階級の交差を考察していく。その際、フレデリック・ダグラスの伝記も参照する。
同時にチャールズ・チェスナットの『大佐の夢』に焦点を当て、人種と階級の交差をを考察する。南部貴族の主人公による社会改革の軌跡を辿り、改革の挫折の原因となった黒人労働者と貧乏白人の軋轢に焦点を当てる。そしてマーク・トウェインの『コネチカット・ヤンキー』の主人公の社会改革との類似点と相違点について考察を深める。
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