研究課題/領域番号 |
20K12969
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 同志社女子大学 (2023) 京都ノートルダム女子大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
木島 菜菜子 同志社女子大学, 表象文化学部, 准教授 (90710418)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 風景描写 / ディケンズ / 風景 / 19世紀イギリス小説 / 『大いなる遺産』 / 『二都物語』 / トマス・ハーディ / 『オリバー・ツイスト』 / 『ドンビー父子』 / 鉄道 / 田舎の表象 / ピクチャレスク / 田園のイングランド / 『アメリカ旅行記』 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀イギリスを代表する作家チャールズ・ディケンズの作品における風景描写の特徴と役割を明らかにするものである。その鋭い観察眼と高度な表現力を同時代から高く評価されてきたディケンズは、その作品において独特な世界を作り出している。しかし、ディケンズと風景というテーマは、これまでにほとんど体系的な研究がなされていない。本研究は、ディケンズが実際に目にした風景や風景画、同時代の美学などから受けた影響を調査し、そうした知識や経験と、作品の中に描かれる風景との関係を考察することで、その描写が物語の中で果たす役割を明らかにし、ディケンズの作品の解釈に新しい側面を付与することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、これまで十分に研究されてきたとは言えないディケンズの作品における風景の表現を、作品執筆の意図や作品の主題との関係も考察しながら、多角的に分析することを目的としている。4年目の令和5年度における研究実績は以下の2点である。 (1) 小説『大いなる遺産』と『二都物語』における風景描写を論じた論文"Developing the 'lines': Politically Significant Landscapes in *Great Expectations* and *A Tale of Two Cities*"を、令和5年6月刊行の国際雑誌*Dickens Quarterly* Vol. 40, No. 2に掲載した(https://muse.jhu.edu/pub/1/article/897487/pdf)。 (2) 令和5年5月、日本英文学会第95回大会において、「"The Withered Arm"におけるRhodaの沈黙」と題した口頭発表をおこない、ディケンズと並びヴィクトリア朝を代表する小説家の一人トマス・ハーディの作品において風景の中に描かれる人物の表現について議論した。 なお、前年度の研究実績の概要にも記載した、書籍『西洋村落譚』(リアリズム文学研究会編、初校作成待ち、よはく舎)および『名作入門シリーズ「大いなる遺産」(仮題)』(佐々木徹監修、初校作成待ち、大阪教育図書)の原稿については、どちらも初校作成が遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況の判断理由は以下の3点である。 (1)上記「研究実績の概要」(1)にある通り、研究実施計画に挙げた項目について、成果物が国際誌に掲載された。研究計画調書(令和元年作成)に記載した研究目的の一つがこれにより達成されたと言える。 (2)上記「研究実績の概要」(2)の研究成果は当初の計画には入れていなかったが、19世紀英文学における風景という観点から、トマス・ハーディの作品の分析をおこなうことができた。 以上、2点の理由により、本研究課題はおおむね順調に進展していると言えるものの、(2)についてはディケンズのテクストを離れる結果となり、研究計画の通りに全てが進んでいるとは言い難い。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、以下の通り進めていく予定である。 (1)「現在までの進捗状況」(2)に挙げた内容について、7月末から8月にかけて開催されるThomas Hardy Society International Conferenceにおいて研究発表することが決まっている。発表の際に受ける予定のレビューやディスカッション内容をもとに、論文の形で発表できるよう研究を進める。 (2) 令和4年度にDickens Society Annual Symposiumおよび日本英文学会関西支部で行なった口頭発表の内容に関して現在執筆を進めている論文は、2025年刊行の国際オンライン雑誌*19*に掲載される予定である。今後論文を完成させ、レビューを受ける予定である。 (3) 令和3年度に日本英文学会およびDickens Society Annual Symposiumで行なった口頭発表の内容に関する現在執筆中の論文を完成させ、国際誌*DickensStudies Annual*に掲載する。 (4) 8月に数日間イギリスでの調査と資料収集を予定している。
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