研究課題/領域番号 |
20K12970
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
瀧川 宏樹 大阪工業大学, 工学部, 講師 (70823665)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ブロンテ / ブランウェル / 男性 / Bronte / Branwell / Masculinity / ブランウェル・ブロンテ / 男性像 / 男性性 / エリザベス・ギャスケル / 英雄 / 悪漢 / glory / あるイギリス人の手紙 / 語りの視点の変化 / ヴィクトリア朝 / アレグザンダー・パーシー / ブロンテ姉妹 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでのブロンテ研究では、フェミニズムの観点から姉妹の作品研究が中心であった。ところが近年では、作家としてのブランウェル・ブロンテが注目され始めている。本研究では、成功した姉妹とは対照的に、男性優位にあったヴィクトリア朝社会において失敗した男性としてのブランウェルに着目することで、当時の男性たちの多様な生き様を捉える。特に彼の作品に描かれる男性像の探求によって、当時の男性としてブランウェルが何を男性の生き方の理想と考えていたのか、またそのようなヴィクトリア朝社会で求められていた男性像にいかに苦悩しつつ人生を模索していたのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
令和5年(2023年)度は、ノイフェルト版『ブランウェル・ブロンテ作品集』全3巻のうち、第2巻を中心にブランウェル・ブロンテの作品の分析を進め、研究発表を行った。 第2巻には1834年から1836年の間に執筆された作品が収録されており、全3巻中、最も多作の時期である。分析を進めていくと、ブランウェル・ブロンテが、絵に描いたような「英雄」的男性像にいかに捉われていたかが浮き彫りにされた。英雄崇拝的な姿勢は第1巻の初期から継続して見られる。1834年から1836年はブランウェルが17歳から19歳のころに相当し、この時期、彼は画家ウィリアム・ロビンソンに師事したり、ロイヤル・アカデミーへの入学を(結局は断念したとされているが)検討したりするなど職業画家への道を歩む一方で、『ブラックウッズ・マガジン』の職に自らを売り込もうとするなど、ブロンテ家の子どもたちの中で唯一の男性ゆえに、一家の希望の星としてキャリアを模索していた。『ブラックウッズ・マガジン』に宛てた手紙(1835年12月8日)は、いささか世間知らずで自身への自信に満ち溢れており、前途洋々に将来の成功を夢見る青年の姿がうかがえる。こうした将来の希望に満ち溢れたブランウェルの姿は、作品内で、敵を妥当し、勝利をおさめ、人生における成功をつかむ男性像が繰り返し描かれ続けたことと無関係ではない。そうした男性の一人として、「アングリアとアングリアの人々 I (d)」で登場した新たな語り手であるヘンリ・ヘイスティングスの描写にも着目した。 一方、このような英雄崇拝譚と並行して執筆されていたのが「アレグザンダー・パーシーの生涯」である。英雄とは反対の悪漢的立場で描かれるパーシーではあるが、パーシーもまたリーダーとして力強く力を発揮する男性という点においては、英雄的男性像を彷彿とさせる側面もある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過年度分の遅れを、本年(2023年)度で取り戻すことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きブランウェル作品の分析を第3巻まで行い、発表を行う予定である。
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