研究課題/領域番号 |
20K12981
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 名古屋外国語大学 (2021-2023) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
木内 尭 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60847812)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | フローベール / ロマン主義 / シャトーブリアン / ユゴー / ミシュレ / 芸術における自由 / 抒情性 / 芸術のための芸術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フローベールの文学をロマン主義の批判と継承という歴史的な視点から再検討することを、課題としている。 近年フランスでは、19世紀前半に展開された文芸運動であるロマン主義の重要性が再認識され、ロマン主義を軸にして19世紀文学全体を捉え直そうという動きが広まっている。こうした動きを受けて、フローベール研究においても、ロマン主義との関係が見直され始めている。本研究では、近年の研究成果を踏まえた上で、より包括的な視点から、フローベールとロマン主義の関係を再考する。そうすることによって、「現代文学の先駆者」という従来の作家像に取って代わる、新たな作家像を構築することが、本研究の目的である。
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研究実績の概要 |
本年度はまず、放送大学附属図書館において文献調査を実施し、当館に所蔵されているフローベール『ボヴァリー夫人』の挿絵本の閲覧・撮影を行った。この挿絵本は世界に一冊しか存在しないきわめて希少なものでありながら、学術的な研究の対象にはこれまでいっさいなっておらず、そもそもその存在さえ知られていなかったが、調査の結果、歴史的に非常に価値が高く、芸術的な見地から見てもきわめて独創的な挿絵本であることが、明らかになった。調査結果をまとめて、「イメージの誘惑 『ボヴァリー夫人』の挿絵本について」と題する論文を執筆した。この論文は東京大学仏語仏文学研究会の『仏語仏文学研究』に掲載される予定である。 また、2022年度に開催された国際シンポジウム「ロマン主義と第二帝政期の文学」での口頭発表をもとにして、「ミシュレの読者フローベール:『フランス革命史』から『感情教育』へ」と題するフランス語の論文を執筆した。この論文はフランスのオンラインジャーナルに掲載される予定である。 本年度は、フランスの現代作家ミシェル・ウエルベックのエッセイ『わが人生の数か月 2022年10月-2023年3月』の翻訳にも取り組んだ。ミシェル・ウエルベックは本研究の直接的な対象ではないが、ロマン主義の作家たちが抱えていた危機の意識を現代に受け継ぐ作家である。翻訳を通して現代におけるロマン主義の意味を再考できたことは、本研究の進展にも間接的に資するものであったと考える。なお、この訳書は2024年に河出書房出版社から刊行される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、フランスでの研究発表や文献調査を実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初、本研究は2020年度から2023年度までの予定であったが、補助事業期間の一年間の延長を申請し、認められた。2024年度は特に研究成果の発表に精力的に取り組みたい。
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