研究課題/領域番号 |
20K12982
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
洲崎 圭子 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 研究協力員 (40869294)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ジェンダー / 女性作家 / 移動 / 境界 / 比較文学 / 自己翻訳 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自らの意志で海外に渡り、複数の言語で執筆する女性作家の作品を比較分析し、そこに表れた言語やジェンダー、人種、ナショナリティの境界に関する表象の特徴を明らかにする。具体的には、米国に居住し英語でも書くメキシコ人作家バレリア・ルイセリ(1983生)と、ドイツに移住しドイツ語と日本語で書く日本人作家多和田葉子(1960生)の小説作品を分析し、国境を往来し移動を経験することによって彼女らが得ることとなった新たな視座の広がりを考察する。
|
研究実績の概要 |
2022年度の研究成果としては、(公財)東海ジェンダー研究所記念論集編集委員会が編纂した論集『ジェンダー研究が拓く知の地平』(明石書店)が2022年12月に刊行され、文学分野からは唯一人の分担執筆担当として、「〈閾〉を跨ぐこと――多和田葉子の小説を巡って」と題した論考を寄稿した。文学作品とは、年齢、職業、家族、国籍、人種等の差異を背景として登場人物を男/女の人生として描きだすことでジェンダー規範を構築する。同論考において、ドイツ在住の多和田葉子の二つの小説作品を対象に、種々の境界線を往来する登場人物たちを分析した結果、ジェンダーとは個人の自由を象徴するものとなっていることを明らかにした。また、研究代表者が2021年に『≪産まない女≫に夜明けはこない ロサリオ・カステリャノス研究』(世織書房)を刊行したことから、京都外国語大学ラテンアメリカ研究所ではや小樽商科大学から招聘され、講演会を実施した。日本ラテンアメリカ学会大会においては、2021年にセルバンテス賞を受賞した女性作家クリスティーナ・ペリ=ロッシに関する発表の討論者となり、ウルグアイからスペインに移動した後にジェンダーに関わるテーマで執筆していることを指摘した。さらに、サンパウロ大学から招待を受け、 「ジェンダーを超えて~多和田葉子の小説」と題し、講演を実施するなかで、ジェンダー視点から多和田作品について概括した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れている理由として、昨年度、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大によって延期していた最新のラテンアメリカ文学に関するメキシコでの基礎資料調査は、今年度も思うように実施できなかった点である。また、ご本人の健康上の都合により延期されたままであった作家を招聘してのオンライン講演会は、中止となったこともあげられる。一方で、海外の大学図書館、研究機関等、資料を保有している各機関においては、コロナ渦ゆえのインターネット経由での情報公開がとりわけすすんだといった事情も観察されたため、日本国内にあっても一定の資料調査・収集が可能となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べた理由で本課題研究を延長することとした。2023年度においては、メキシコから米国に移住して英語で執筆している作家の小説作品に焦点を絞り、英語版/スペイン語版を比較分析した結果を雑誌へ寄稿する。本課題についての海外渡航の計画は中止し、必要文献の収集分析に切り替えて作業を進めている。
|