研究課題/領域番号 |
20K12990
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 早稲田大学 (2021-2022) 桐朋学園大学 (2020) |
研究代表者 |
安野 直 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (10866958)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | ロシア文学 / ジェンダー / セクシュアリティ / 大衆小説 / ニーヴァ / ヴォリフ書店ニュース / LGBTQ / アナスタシヤ・ヴェルビツカヤ / クィア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、20世紀初頭のロシアにおける大衆小説にあらわれる同性愛や両性具有、性役割の反転した人物形象といった「男/女」の枠に収まらない多様なセクシュアリティがどのように構築され、人々のあいだに広まっていったのかを詳らかにする。特に法令や統計といった公式資料や社会背景とあわせて、文学作品やその流通を可能にした雑誌を検討し、セクシュアリティ研究の領域に人文学からアプローチをする。本研究は、ロシア文化のなかで、もっともラディカルに男女二元論に当てはまらない文化が形成された起点において、性的少数者の在りようを、法令や数値では明らかとならない側面に文学を通して光をあてるものでもある。
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研究成果の概要 |
本研究は、20世紀初頭のロシアの大衆小説において、同性愛や両性具有、性役割の反転した人物形象といった「男/女」の枠に収まらない多様なセクシュアリティがどのように描かれ、人口に膾炙していったのかを明らかにすることを目的としている。 本研究によって明らかになったのは、大衆小説にあらわれる非規範的な性の表象は、西欧から流入した性科学の言説やロシアの性愛思想を取り入れつつ、形作られたものであるということである。またそうしたセクシュアリティを描いた小説が、急速な都市化・商業化の流れのなかで、「商品」として、読者=消費者に雑誌メディアを通して伝播していったことも明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、日本のロシア文学研究においてあまり手が付けられてこなかったナグロツカヤやヴェルビツカヤ、チャールスカヤといった女性作家の大衆小説に光を当て、それらをジェンダー研究、セクシュアリティ研究の視点から分析した点である。また、現在ロシアでは、いわゆる「同性愛宣伝禁止法」の改正によって、性的少数者への人権侵害が懸念される事態となっている。現代からおよそ百年前までさかのぼり、ロシアの性的少数者の文化を掘り起こすことによって、現在ロシアのLGBTQをめぐる諸問題を考察する糸口となるだろう。
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