研究課題/領域番号 |
20K12992
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02040:ヨーロッパ文学関連
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研究機関 | 岐阜医療科学大学 |
研究代表者 |
柳田 直子 (小見山直子) 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 助教 (30734230)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 西洋古典学 / 牧歌 / テオクリトス / ウェルギリウス / モスキュス / ビオン |
研究開始時の研究の概要 |
古代の牧歌作品ではテオクリトスの『エイデュリア(前3世紀)』と、ローマのウェルギリウスによる『エクロガエ(前1世紀)』が最もよく読まれてきた。ウェルギリウスはテオクリトスから牧歌的モチーフを多く受け継いだが、牧人の描き方に関して、二つの作品には大きな違いがある。テオクリトスからウェルギリウスに至る間には伝テオクリトス作品、モスキュスやビオンによる牧歌が存在し、それぞれが異なる「牧歌」の発展形を示している。本研究はテオクリトス以降・ウェルギリウス以前の牧歌における文学的意匠と思想上の特徴、それらのウェルギリウスへの影響を、原典テクストの詳細な読み取りによって明らかにする。
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研究実績の概要 |
ビオン作品では、テオクリトス(偽作も含む)から牧歌の伝統として受け継がれたモチーフや表現パターンが多用される傾向にあるものの、恋愛詩としての側面が拡大する過程において、テオクリトス的な牧人の属性や内面性、失恋の要素は欠落する傾向にある。登場人物が牧人風の名前を持つことは、おそらく牧歌的背景を印象付け、登場人物がテオクリトスの牧人流に情熱的に愛し愛されていることを読者に想像させる役割を持つ。彼らは愛を歌い、時に自然を歌うがこれは牧歌ジャンルに親しんだ読者の一般的な発想により恋愛と田園が連想関係にあったためだと思われる。恋愛の描かれ方はローマの恋愛抒情詩に近づいており、テオクリトス的な恋愛の描かれ方とローマの中間的な要素を多く提示していると言える。
ウェルギリウスやカルプルニウス・シクルスの牧歌では、テオクリトス以後に拡大した恋愛詩の側面を強く持つ牧歌(的な恋愛詩)と、叙事詩のサブジャンルとしての立場を強く意識した作品が混在している。後者では、テオクリトス的モチーフの人物描写に与える影響は再び拡大しており、牧歌の多様な発展を複数の形式で見せてくれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
家庭の事情、コロナ後増えた学内業務の影響。
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今後の研究の推進方策 |
ウェルギリウスらローマの牧歌作品の分析を続ける。テオクリトス以外の要素の由来を検討する。
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