研究課題/領域番号 |
20K13005
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 実践女子大学 (2021-2023) 大阪大学 (2020) |
研究代表者 |
柳田 亮吾 実践女子大学, 文学部, 講師 (00756512)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | イン/ポライトネス / やじ / 政治コミュニケーション / 政治的談話 / 国会 / 議会 / 沈黙 / 日英対照 / 国会討論 / ジェンダー / 国会・議会 / 日英対照研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は日本の国会と英国の議会におけるやじに焦点をあて、やじを起点とした政治コミュニケーション(国会/議会での討論という相互行為、テレビ・新聞等のメディアによる媒介、市井の人々の受容)を分析する。国会/議会において議員がどのようなことばを用いてやじっているのか、やじられた議員やその他の議員がやじに対していかに反応し、その適切性をどのように判断・評価しているか、また、やじは国会/議会の外ではどのように判断・評価されているかを分析する。日・英それぞれの社会において、ことばが他者との関係性の構築・維持・破壊にあたってどのような役割を担っているのか、利害・関心や感情にも注目しつつ、考察する。
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研究実績の概要 |
今年度は、イギリス議会におけるやじとそれに対する応答を含むやりとりを分析し、それを前年度に行った日本の国会におけるやじとそれに対する応答のやりとりの分析結果と比較しつつ、イン/ポライトネスの観点から分析を行った。 日本においてやじが「議会の華」といわれるように、イギリスにおいてもやじは議会の相互行為において重要な役割を担っている。Spencer-Oatey(2005, 2008)のrapport managementの枠組みにもとづくならば、やじはやじを飛ばした議員が自身の相互行為上の目標のために、やじの受け手のフェイスを侵害するとともに、社交性の権利をも侵害する行為であるということができるが、イギリス議会においてもこのようなやじは慣習的に許容されており、その適切性は審判である議長を含む相互行為の参加者によって交渉される。 分析の結果、イギリス議会においても、日本の国会と同様に、やじられた議員がやじの不適正性を主張する方策として、「無視する」、「抗議する」、「反論する」が確認できた。「無視する」、「抗議する」というのは自身の話す権利(社交性の権利)を暗示的に、明示的に主張する方策であるのに対して、「反論する」というのは自身のフェイスを防御する方策である。また、日本の国会でみられたやじに対して「沈黙する」という方策はイギリスの議会では見られなかった。「沈黙する」というのは、話す権利かつ義務をあえて放棄することで、抗議をする方策である。この相違は、一つには、話すことで自身の意見を主張すること、あるいは、話をあえてしないこと(沈黙)に関する日英の文化的な規範の相違から生じていると考えられる。
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