研究課題/領域番号 |
20K13011
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
早野 薫 日本女子大学, 文学部, 准教授 (20647143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 会話分析 / 認識性 / 発話の組み立て / 優先的権利 / 子どもをめぐる相互行為 / 報告連鎖 / 発話デザイン / 情報のなわ張り |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、相互行為における発話のデザインに関わる要因を記述する試みの一つとして、言及対象に対する「優先的権利」の所在を判断・交渉し、発話デザインと結びつける相互行為能力の実態を記述する。データとしては優先的権利に関わる様々な要因が交錯する場面(保育士と保護者,獣医と飼い主,美容師と客など)での会話を研究対象とし、それを、会話分析の方法で分析する。この研究を通し、知識・情報の分配、経験の質、感情的態度など、優先的権利の所在に関わる様々な要因を整理し、「情報のなわ張り」,「認識性」などのキーワードによって一括りにされてきた現象の諸相を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
研究代表者は、客員研究員としてヘルシンキ大学で2022年度を過ごした。ヘルシンキ大学に所属する会話分析の専門家との研究交流や研究発表を通して、おおむね順調に研究課題を進捗させることができた。分析に際しては、以下の4点に着目した。1) 子どもについてそれぞれに語る権利を持つ保護者と保育士が大人同士で会話をする中で大人が子どもに発話をむける時、そこにはどのような構造やパターンがあるか。2) 保護者と保育士が子どもに発話を向けることは、相互行為上どのような実践として働くか。3) 保育士が、親とのやりとりにおいて日中の子どもの発話を引用する時、そこにはどのような構造やパターンがあるか。4) 保育士が子どもの発話を引用することは、相互行為上どのような実践として働くか。 1), 2)の観点からの分析の結果、保育士は、保護者との会話の中で発話を子どもにも向けることで子どもを経験について語る主体になり得るものとして扱うこと、そうすることでこれから保護者に語ろうとする出来事の性質を保護者に予示することが明らかになった。3), 4)の観点からの分析の結果、保育士が行為の主体としての子どもの権利に対する配慮を表明しながら、自分が保育者としての責務を果たしていることを主張していることが示された。 2022年度前半は、2021年度までに収集したデータの整理、文字化を完了させ、1), 2)の観点から分析を進めた。2022年度中盤は、1), 2)の分析結果を論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿した。この論文は採択され、2023年度中に掲載されることが決まっている。2022年度後半は、当該投稿論文の改訂を進めるとともに、3), 4)の観点からデータ分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、研究代表者が研修を得ることができたこともあり、当該課題に集中して取り組むことができた。主たる研究成果が出版物として発表されるのは2023年度以降になるが、おおむね予定どおりに分析を進め、結果をまとめることはできたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、前述の分析の観点3), 4)に即した分析結果を論文にまとめて発表する。また、本研究課題のテーマである「発話デザインと優先的権利」について総括的な論考をまとめる。 データの文字化と整理はおおむね完了しているが、さらなる資料収集、整理をするにあたり、必要に応じてリサーチ・アシスタントを雇用して研究の実施を促進する。
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