研究課題/領域番号 |
20K13020
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
今村 怜 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 准教授 (70829671)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 語順 / 情報構造 / コーパス解析 / 文産出実験 / 文法関係 / 重さ / 焦点化 / 有生性 / 受動態 / 分裂文 / かき混ぜ文 / 後置文 / 話題化文 / 受身文 / 文処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、語順の選択を動機づける要因を明らかにし、機能的な観点から日本語の語順を体系化することである。その目的を達成するために、本研究ではコーパス解析と文産出の実験を併用する。コーパス解析は、実例に基づくので、言語使用の実態をつかむのに適している。しかし、複数の要因が同時に働く場合は、どの要因の影響であるかの判別ができない。そこで、各要因を分離したデザインの実験を行い、コーパス解析により提案された可能性を絞る必要性がある。また、コーパス解析と実験を併用することで、実際の言語運用から乖離することなく、語順の選択基準を明らかにすることが可能になると考えられる。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、語順の選択を動機づける要因を明らかにし、多角的な観点から日本語の語順を体系化することである。その目的を達成するために、コーパス解析と文産出実験を行い、機能主義の立場から一般化を試みた。まず、コーパス解析の結果として、主題持続は焦点化だけでなく文法関係の影響も受けるという傾向が観察された。しかし、文産出実験では、主題持続と文法関係の相関関係は疑似相関であるという可能性が示唆された。また、語順や文法関係の機能は個別の構文と相互作用を示すという結果が観察された。たとえば、二受動文では主語の持つ話題持続性が強められるのに対し、ニヨッテ受動文では弱められるという傾向が観察された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、コーパス解析と文産出実験に基づき、語順転換に関与する構文の使い分けの一端を明らかにした。具体的には、かき混ぜ文/分裂文/後置文/受動文の用法を機能的な概念から探求し、個別構文の用法を体系化した。また、コーパス解析に基づいて提案した仮説を文産出実験で再検証し、多角的かつ総合的に語順の選択基準の解明を目指した。その結果として、コーパス解析に基づいて提案した仮説を修正し、複数の手法で検証することの必要性を示した。このような形で語順の選択基準の理解が深まることにより、語順そのものの言語普遍的な特性の解明へ貢献できたと考えられる。こうした言語事実の解明は談話文法理論へ貢献するものでもある。
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