研究課題/領域番号 |
20K13029
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
木本 幸憲 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (40828688)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 語彙の細分化 / フィリピン / 言語と文化 / 名詞派生動詞 / 危機言語 / アルタ語 / ネグリート / 社会言語学的状況 / カシグラン・アグタ語 / イロカノ語 / カンカナウイ語 / フィリピンネグリート / 認知言語学 / オーストロネシア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、言語系統的には農耕民と同じオーストロネシア系として分類されるフィリピン狩猟採集民の言語に、狩猟採集民としての彼らの文化、生活様式が反映されているのかを明らかにする。特にここでは、名詞派生動詞・形容詞などの語形成に着目し、語根の名詞が喚起する文化特定的な価値、行為、状態によって、派生動詞・形容詞の意味が決定されることを明らかにする。本研究では、アルタ語、カシグランアグタ語の一次資料(自然談話・聞き取り資料)を蒐集し、フィリピンの農耕民言語との比較を行うことで、新たな視点から言語と文化の関係の一側面を明らかにしていく。
|
研究実績の概要 |
①アルタ語、カシグラン・アグタ語、ブッカロット語(キリノ方言)の語彙収集 フィリピンのキリノ州で話されている3つの狩猟採集民言語について、語彙調査を行った。アルタ語は、カシグラン・アグタ語の辞書(Headland and Headland 1977)に従って、その項目に対応するアルタ語の語彙と、その語の文法的振る舞いを調査した。また、アルタ語と対照するために、同じ地域に居住するネグリート言語であるカシグラン・アグタ語(Casiguran Agta)、狩猟採集民であるが非ネグリート言語であるブッカロット語(キリノ方言)の対照研究を進めた。特に「イノシシ」「サル」「シカ」という動物語彙が成長段階や雌雄に応じてどのように言い分けるかについて調査を行った。その結果、ネグリート言語であるアルタ語とカシグラン・アグタ語に細かい区分が見られ、同じ狩猟採集民であるが非ネグリート言語であるブッカロット語はやや語彙の区分が大まかである傾向が見られた。
②補文節と命題の概念的埋め込みに関する研究 昨年度から引き続き、物語コーパス中の文における命題の概念的埋め込みが補文節をはじめとした構文でどのように現れるかについての対照研究も進めている。特にフィリピンの言語では、アルタ語とイロカノ語をデータに組み込み、「発話」「思考」「蓋然性」などで命題をフレーミングする場合、どのような構文が用いられるかを調査したところ、アルタ語では並置節が優勢、イロカノ語ではやや補文節が優勢であることが分かった。通言語的研究から、この差は言語の形式的特徴(類型論的特徴)というよりも、社会言語学的・ジャンル・スタイルの差に求められることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったフィリピンネグリートの言語研究に加え、狩猟採集民であるが非ネグリート言語であるブッカロット語の調査も進めることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
追加の調査を進めるとともに、本研究の成果を研究論文として共著でまとめている段階であり、それを出版する予定である。
|