研究課題/領域番号 |
20K13049
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
北崎 勇帆 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (00847949)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日本語史 / 文法史 / モダリティ / 条件表現 / 文体史 / 文構造 |
研究開始時の研究の概要 |
意志・推量を表す「む」「(よ)う」やその否定の「まい」は、古代語では連体用法を豊富に持ち、現代語では終止用法に偏る。この2点間の比較に基づいた「非終止用法の衰退・固定化」「終止用法への一般化」という見方が一般的に行われてきたが、その予想に反するような事例が中世語には豊富に見られる。このことを前提として、本研究は以下の2点の解明を目指す。 Ⅰ 終止用法・非終止用法の歴史の記述と「固定化」のストーリーの見直し Ⅱ 文の階層構造と、その中における当該形式の位置付けの通時的変化の解明
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研究成果の概要 |
本研究は、意志・推量を担う形式の非終止用法(連体修飾・従属節構成の機能)の歴史的記述と、文の階層構造における位置付けの変化の解明を目指すものである。この目的に従い、主に以下の3点を解明した。 Ⅰ ホドニ・ガなどの従属節が推量類を包含する時期に、「否定のマイが早く、肯定のウに波及する」という時期的な差があること Ⅱ 現代語では容認されない従属節末における意志のウの生起(e.g. この本を貸しましょうから、読んでください)が中世・近世期には見られること Ⅲ 原因・理由節において、「話者の推量した事態を含まない」状態から「含み得る」状態へという、機能拡張の傾向が一般的に認められること
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、「貸しましょうから、読んでみな」のような意志を表すウの包含が室町期・江戸期には盛んであったことや、ホドニなどの原因・理由節の推量を包含する機能が後発的に発展したもので、それが種々の原因・理由節の持つ一般的な傾向であることなどを示した。 特に、従来、単調減少的に考えられていた意志・推量形式の「非終止用法の衰退」という見方について、古代語と現代語の対照だけでは十全な検討が行えないことを示したことに本研究の学術的意義があり、原因・理由節が「推量を含まない状態から含み得る状態へ」という変化を起こしやすいことを示したことについては、類型論的な研究に対する意義も有する。
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