研究課題/領域番号 |
20K13057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 京都橘大学 (2022-2023) 東亜大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
高谷 由貴 京都橘大学, 発達教育学部, 助教D (80866864)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 引用 / 接続表現 / コーパス / 近世 / 近代 / ト / トテ / 作文資料 / 作文 / 昭和 / 大正 / 文法 / 日本語 / 手書き資料 / 国語学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,近年その評価が高まりつつある大正期から昭和期にかけての作文資料および手書き資料の言語学的価値に注目し,全国の文学館・博物館あるいは個人が所蔵しているこれらの資料を収集・保存・データ化することにより,WEBコーパスの公開と,大正・昭和期口語の分析を目指すものである。「社会階層,性別,年齢」等のタグを付したWEBコーパスが利用可能となれば,日本語学及び社会言語学に広く貢献をもたらすことが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究課題では,近世・近代の資料収集および,それを活用した研究計画を行っている。今年度行った研究発表・論文は,引用助詞に関する複数の表現を扱ったものである。 ①引用助詞「ト」に動詞「来る」のタラ形式が後接した「トキタラ」という形式が用いられる表現の歴史的変遷②現代の日本語における「だって」に相当する「ダトテ」「ダッテ」についての歴史的変遷 ①②では主に近世期~現代までの資料を使用し,浄瑠璃・歌舞伎・洒落本等における使用が現代語と異なることに注目して記述してきた。 ①の「トキタラ」に関する研究発表を2回行った。近世期における資料の調査を行い,関西(上方)の用法と,関東(江戸)の用法の違いを観察した。近世期において,上方では,(1)のように文末で用いられる「ト来テイル」が主に観察されるのに対し,江戸では近世後期から(2)のように,「母人ときたら」という意味で対象への評価を述べる場合が見られ,使用状況に東西差があることを報告した。 (1) ……大のてれぼうときておりやした(当世左様候, 1776,近世中期)(2) 母人ときちやア,モウ/\たまらねへヨ(春色梅兒譽美,1832-1833,近世後期) ②は,国立国語研究所の「通時コーパスの構築と日本語史研究の新展開」プロジェクト研究員としての業績として『コーパスによる日本語史研究』に寄稿し,出版された。業績の発表日等の詳細を以下に示す。【研究発表】「学会発表における発話頭の「ト」の使用について」表現学会近畿例会 2023年10月21日/「近世・近代における「ト+来る」表現の運用」 2023年第3 回『土曜ことばの会』 2023年7月8日【書籍等出版物】岡部嘉幸, 橋本行洋, 小木曽智信編『コーパスによる日本語史研究』ひつじ書房,分担執筆担当範囲「『日本語歴史コーパス江戸時代編』に見られるダトテとダッテの使用状況」
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該分野の研究発表・論文執筆ともに順調に行っている。新型コロナウイルス感染拡大以降,研究発表をオンラインでも行うことが続いているが,他の研究者との交流も広がり,遠方の大学の研究会にも参加できるなどメリットも大きい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き,発表と論文執筆を行いたい。論文執筆については,年度内に査読付き雑誌に投稿して出版することを目指す。また,本年度も研究発表1件が決まっている。そのほかの研究成果の公開について,実践報告も本年度中に1本出版する予定である。本研究で得られた日本語の歴史についての知見を,大学における日本語・日本文化の教育活動に生かすものである。
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