研究課題/領域番号 |
20K13129
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
瀬尾 匡輝 茨城大学, 人文社会科学野, 准教授 (20761026)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 言語教育の商品化 / 新自由主義 / 格差の是正 / 商品化 / 格差 / 言語教育 / 公平性 |
研究開始時の研究の概要 |
各教育機関は、学習者を獲得するために、言語教育の「商品化」に努めている。これまでの研究は、商品化による「効率性」の観点からなされ、「公平性」の観点からの研究は少なかった。そこで、本研究では、ベトナムで英語・中国語・韓国語・日本語を学ぶ学習者/教師、多国籍企業で働くベトナム人社員/人事担当者への調査から、1)かれらが各言語にどのような知的・情的価値を見出しているのか、2)言語学習の結果どのような経済的及び心理的な価値が生み出され、そこにはどのような格差が生じているのかを明らかにする。そして、その格差をどのようにして是正していくのかという課題に取り組むことで、言語教育の商品化の新たな可能性を示す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に収集した544名のアンケート調査を分析し、その結果を9月にオーストラリア・シドニーで行われた「豪州日本研究学会研究大会 /国際繋生語大会」で発表するとともに、2024年3月に刊行された『グローバル教育研究』で公表した。調査の結果、(1)英語学習者は英語に対して知的価値を強く見出していた一方で、韓国語学習者は韓国語に対して情的価値を強く見出していたこと、(2)中国語学習者は中国語に対して韓国語学習者ほどの情的価値は見出してはいなかったが、それなりに情的価値を見出していたこと、(3)日本語学習者は日本語に対して知的価値も情的価値も見出してはいなかったことが明らかになった。本結果をもとに、(1)英語においては学校教育の現場で知的価値が見いだされやすい環境があること、(2)韓国語においては昨今の世界的な K-pop や韓国コスメへの人気の高まりがベトナム国内でも強く影響していること、(3)日本文化や日本製品へのアコガレが失われつつあること、(4)ベトナムにある日系企業で働くベトナム人社員が日本語を話す必要はあまりなく、むしろ英語でのコミュニケーション能力が求められていることから、日本語を学ぶことが必ずしも個人の人的資本を増大させることにはつながっていないことを指摘した。 加えて、2022年度に英語・中国語・韓国語・日本語の学習者18名と教師9名を対象に行ったインタビュー調査を分析し、その結果を8月にアメリカ・ウィスコンシン州マディソン市で行われる「2024年日本語教育国際研究大会」で発表する。調査の結果、大学とセンター(民間の語学教育機関)の両方で言語を学ぶ学習者と言語を教える教師はともにセンターに対して大学の補完的な役割を見出しており、両者が切っても切れない関係にあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、ベトナムをフィールドに調査を行うが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、研究開始からの2年間(2020年度~2021年度)は、現地に赴き調査をすることができなかった。2023年2月~3月にベトナムに1か月滞在し、インタビューデータを集めることができたが、現在分析を進めており、当初の予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に収集したインタビューデータの分析を引き続き行い、学習者が各言語に対してどのような価値を見出しているのか質的な観点から明らかにしていきたい。また、教師、他国籍企業で働くベトナム人社員及び人事担当者への分析を深め、それらの価値に対し、それぞれの言語プログラムが言語学習をどのように商品として売り出しているのかを探り、言語学習が盛んなベトナムの言語学習の商品化の現状を明らかにしたい。
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