研究課題/領域番号 |
20K13167
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 東京理科大学 (2023) 小樽商科大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
菅原 慶郎 東京理科大学, 教養教育研究院北海道・長万部キャンパス教養部, 講師 (30865449)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 北陸地方 / 北前船 / 本州産品 / 小樽 / 近江商人 / 海産物 / 江戸後期 / 明治期 / 流通経済 / 恵美須屋岡田家 / 漁場経営 / ニシン漁 / 出稼ぎ漁夫 / 明治 / 北海道産品 / 流通経済史 / 松前・蝦夷地 / 北海道移民 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、北海道へと流入する商品(食料や日用品など)の流通システムに注目する。具体的には、江戸後期から明治期にかけてアイヌ民族及び北海道移民へ向けた物資の随一の移入港として急成長する小樽をフィールドに、そこへ流入する様々な商品の生産地や数量などを分析する。こうした着眼により、これまで海産物を主体とした北海道産品が本州方面へ大量に流入し、和風文化に多大な影響を与えた構図が注目されがちな点に対して、北海道の玄関口小樽における商品の流通システムの視点を加味することで、北海道と本州以南との双方向的な日本全体をも見通した経済的関係の提示が可能となる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、最後の大きな課題であった「北前船主」の宮城彦次郎家文書(富山市郷土博物館所蔵)の調査を無事にすべて終えることができたことが特筆される。こちらは、本科研で2つ目の大きな目的である調査予定史料群であったが、これまでコロナ禍の影響を主因として調査が敢行できていなかった。
次に、実質的な研究実績をみると、多くの著作等を刊行した昨年度とうってかわり、今年度は口頭成果報告の位置づけとなる講演2本と研究報告を1本完了することができた。講演(石川テレビ主催および石川県庁主催)ではどちらも「北前船」が運ぶモノにも注目する歴史についてのテーマであり、本科研とも大きく関連したものとなった。研究報告(歴史国境学研究会主催)では、北海道小樽と樺太(サハリン)との関係をテーマとしたが、本州方面から流通する商品が小樽を介して、さらにサハリンに運ばれる経済的関係のほか、新たに石川県から先代が移住し、小樽の商家で生まれた越崎宗一氏(「北前船」の先駆的研究者としても著名)の活動についても触れることができた。他に、すでに調査を終えた2万数千点にも及ぶ文書群である右近権左衛門家(福井県南越前町教育委員会保管)の文書群の分析を大きく前進させることができた。量的に膨大なため多くの時間を費やしてしまったものの、全体的な史料群の概観をすることから、具体的な研究テーマを設定し、分析までをも確実に進めることができた。こちらは、2024年度初頭から成果論文を順次発表する段階まで到達している。
以上をまとめると、昨年度について著作等の成果を数多く世に出すことができた一方、今年度について、本科研に関するすべての調査が無事完了し、全体的なまとめに向けた分析に十分な時間を割くことができたうえ、口頭成果報告(講演・研究報告)へもつなげることができたといえよう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020~2022年度は、コロナ禍に振り回されながらも、本研究の本丸でもある膨大な量にのぼる右近権左衛門家(福井県南越前町)の文書調査および、大きく関係する近江商人の文書群(滋賀大学経済学部附属史料館所蔵の岡田彌三右衛門家および西川伝右衛門家)の調査を終え、口頭成果報告や論文発表も想定よりもかなり多く世の出すことができた。とりわけ、22年度は、本研究の調査研究成果の還元を集中的に行うことが可能となった。
続いて、2023年度は、これまでの懸念事項であった宮城彦兵衛家(富山県富山市)の文書調査を無事終えたうえ、膨大な右近家文書の分析も進めることでき、口頭成果もさらに充実させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、総決算となる今年度は、これまでの大きな2つの文書群、つまり福井県の右近権左衛門家文書および富山県の宮城彦次郎家文書の徹底的な文書分析に重点的に取り組み、研究成果を世に出すことが最大かつ最終的な目標である。
具体的に新年度初頭には、1本目となる右近権左衛門家が北海道小樽へ手船で廻漕した多種多様な本州産品(「和製品」)について、現地の小樽で取引する商人たちの特質や商業的関係を明らかにした論稿を出せる見込みである。さらには、そうした和製品のなかでも、徳島県内陸部で生産されたタバコ各種が右近家の手船によって、小樽へ廻漕のうえ取引されていた過程について、2本目の論稿の執筆も順調に進んでいる。こちらも新年度前半には投稿する予定である。続いて年度後半には、宮城家文書の分析も進め、原稿化する計画である。
そのほか研究成果の報告の機会として、北海道内や福井県で成果を発表することが順次決まりつつあり、科研全体のまとめも意識しながら取り組む所存である。
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